以下、朝日新聞デジタル版(2020/10/16 22:00)から。
東京電力福島第一原発にたまり続ける処理済み汚染水をどう処分するか。政府と東電は、海洋放出を有力視する有識者の提言を支えに、政治判断に向けた地ならしを進めた。タンク容量の限界を押し出しながら、風評被害を恐れる漁業者らの外堀をじわじわと埋めてきた。
福島第一原発では、溶け落ちた核燃料を冷やす水に原子炉建屋に流入する地下水が混ざり、いまも汚染水が増えている。東電は、多核種除去設備(ALPS(アルプス))で処理してタンクに保管しており、たまった水は約120万トンに達する。敷地の制約から、東電の現在のタンク増設計画は137万トンまで。昨年8月には、22年夏ごろに満杯になる見通しを初めて示し、保管し続けると廃炉作業への悪影響も懸念される、といった主張を強めてきた。
約3年かけて処分方法を検討してきた経済産業省の小委員会は今年2月の提言で、「確実に実施できる」と海洋放出の有力視に踏み込んだ。その上で、政府に関係者の意見を聴いて方針を決めるよう求めた。
(後略)
(小坪遊、藤波優 古庄暢)