「復興の姿、想定より「悪い」49% 被災3県の住民調査」

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以下、朝日新聞デジタル版(2021/3/9 22:01)

 東日本大震災の被災3県の住民へ朝日新聞がアンケートしたところ、震災直後に思い描いた復興後の地元の姿と比べ、現状が「とても悪い」「やや悪い」と答えた人は計49%だった。特に福島では62%に上った。地域のつながりや地域経済の復興を実感しづらい人が多く、くらしの復興が道半ばとの現実が浮かぶ。

 2012年に「いま伝えたい『千人の声』」で取材した3県の被災者のうち709人にアンケートし、463人から回答を得た。街や住まいの姿など、地元や被災地の現状を、震災直後に思い描いたイメージと比べてどう評価するか5段階で尋ねると、「とても良い」「やや良い」は3県で計35%にとどまった。

 東京電力福島第一原発のある福島県双葉町からいわき市に避難した男性(40)は「やや悪い」と答えた。震災直後は、放射線量が下がればすぐ帰れると思っていたが、次第に帰れないことが分かったという。「復興とは元通りになること。手つかずとは言わないが、現状はかけ離れている」と話す。

 同様に双葉町からいわき市に避難した女性(46)は「とても悪い」を選んだ。双葉町の自宅は取り壊す予定で、周辺の家も解体が進み、空き地が目立つ。「住む所も病院も学校も、働く所もない。放射能もあるのに帰れるわけがない」。震災直後は帰りたがっていた息子は16歳になり、「放射線量が気になるので帰りたくない」と話すという。

 同県飯舘村から福島市に避難している女性(73)も「とても悪い」を選んだ。当時の村長から「2年経ったら飯舘に帰れる」と言われて期待を抱いたが、10年経っても問題は解決しなかった。帰った人からは「日用品は何も買えない。日常生活を送るのは飯舘の方が大変だ」と聞くという。

(後略)

(八鍬耕造、恵藤公浩)