【karaoke】お小遣いで買ったエジソン・ライトハウスのドーナツ盤「恋のほのお」(1970)

恋のほのお(1970)

 英語学習の基本練習としてカラオケをすすめているのだが、今日のおすすめは、1970年の懐メロ。10代に向けたバブルガムミュージック(bubble-gum music)・バブルガムソング(bubble-gum songs)の典型なんだけれど、エジソンライトハウスの「恋のほのお」(Love Grows Where My Rosemary Goes)という一曲。

 大昔に流行った唄だけれど、この頃、自分は、洋楽のドーナツ盤をお小遣いで買っていた。たしかこのエジソンライトハウスの「恋のほのお」もお小遣いで買った一枚。唄の中の "mystery" の発音の仕方が「ミステリー」でなく、「ミスタリー」と発話していたことが強烈に印象に残っている。

 当時、全英シングルチャートで1位。合州国ビルボードでは5位に輝く世界的ヒットとなったが、最近、Tik-Tokでリバイバルヒットとなったようだ。

 ポップスやロックの唄を聞いて最近大切だと思うことは、なんといっても「評価」のこと。多くはしょせん流行り歌だから、評価しすぎないことが肝心ということだ。批判的に「評価」することができなければ、英語なら何でもありがたがるという従属的な姿勢となってしまう。

 「恋のほのお」は、しょせんバブルガムミュージック、バブルガムソングなのだと、突き放して「評価」する姿勢が肝心だ。

 そのことを強調したうえで、とりあえず、拙訳を書いておこう。

お金なんてないし

洋服はちょっと変だし

髪の毛だってかまわない

でも、彼女を想う気持ちが高まるんだ 僕のローズマリーを見るときね 誰もわかっちゃいないけど わかってるのは僕だけなんだ

 

ちょっとゆったり喋るし

変人だよ彼女はと みんな言うし

彼女の暮らしっぷりは不可思議だし

でも、彼女を想う気持ちが高まるんだ 僕のローズマリーを見るときね 誰もわかっちゃいないけど わかってるのは僕だけなんだ

 

ほんと まいっちゃうよ 彼女が僕の手を握るとね

ほんと 素敵な感じで 「ねぇ」って言ってしまう

ほんと 彼女には魔法のおまじないがあって

それがほんと効いちゃうから もう離れられないんだ

 

僕は幸運な奴で

きちんと言わなくちゃ 彼女に

君を永久に愛すからと

なぜって 彼女を想う気持ちが高まるんだ 僕のローズマリーを見るときね 誰もわかっちゃいないけど わかってるのは僕だけなんだ

 

彼女がいれば愛は育っていく 誰もわかっちゃいないんだ 僕だけなんだ

もし彼女を見たら 彼女を忘れるなんてできないよ 誰もわかっちゃいないけど 僕だけなんだ 見たらわかるよ 誰もわかってないんだ 僕だけなんだ

 

 もとの歌詞は以下にある。

Edison Lighthouse – Love Grows (Where My Rosemary Goes) Lyrics | Genius Lyrics

 歌詞のなかのいくつか、は以下のように韻を踏んでいて調子がよい。

money/ funny

grows  /  Rosemary  / goes  / knows/ 

lazy  / crazy

me / free

mine  /  fine 

spell  /  well

say / hey / away

 とくに、Love grows where where my Rosemary goes and nobody knows like me と繰り返される行では、 grows / Rose・(mary) / goes / knows と韻を踏んでいて、ゴロがよい。

 また、次のような口語表現も使われている。
ain't got no~(~なんてない/ ~なんてねえ) /  kinda =kind of (なんか/ちょっと/まぁ)/  gotta =have got to(~しなければならない/~しなきゃ)/  work well(うまく効く) /  can't get away(逃れられない/ 離れられない) / There's something about ~(~にはなにか貴重なものがある/ 大切なものがある) / fella (奴)/  've just got to do something (~しないといけない)/

 3分にも満たないポップスで、スピードは、89 WPM(words per minute) ほど。"There's something about her hand holding mine" のところだけが、少し早く感じるかもしれない。'She ain't / got no / money' で始まるタッタ、タッタ、タッタという強弱のリズムを学んでほしい。バブルガムミュージックといえども、構成上、よくできた唄だ。

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  実は「エジソンライトハウスというバンドは存在していなかった」(Edison Lighthouse didn't exist)という話は以前聞いたことがあって、オフィシャルビデオとされる上記のビデオに映っているのもトニー・バロウズ (Tony Burrows) 本人ではない。

 最近知った "Todd in the Shadows"というサイトがあって、これがでっちあげられたバンドであるエジソンライトハウスについて詳しく触れていて、とても面白かった。"Todd in the Shadows"には、いくつかのカテゴリーがあるのだけれど、一曲だけのヒット曲("One Hit Wonderland")というカテゴリーがあって、この「恋のほのお」もその中で解説していて、いろいろとためになった*1

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 たとえば、サンフランシスコのヒッピーたちが世界の社会に影響を与えていた頃に、音楽業界ではビーチボーイズなど流行っていたものをパクりつつ、セッション・ミュージシャンであったイギリス在住のトニー・バロウズ (Tony Burrows) が、バブルガムミュージックに歩調を合わせるかたちでヒットを当てたのだが、当時のイギリスは、ビーチボーイズの活動拠点地であるロサンゼルスとヒッピーの活動拠点地であるサンフランシスコとの区別も意識的ではなかったという話。

 またRosemary という女の子の名前も、ローズマリーというポピュラーなハーブもあるから、love growsというイメージに合うという話。

 驚いたのは、10代の自分が強く印象をもったミスタリー(mystery)の発音についてもトッドは言及していたこと。

 ほかにもあるが、この辺にとどめておこう。

 

 「恋のほのお」は、バブルガムミュージック・バブルガムソングであることを意識しておけば、カラオケの練習曲になるだろう。

 また、最近Tik-Tokで「恋のほのお」がリバイバルヒットをしたということにも深くうなづけるに違いない。

*1:"Todd in the Shadows"による"Love Grows"の話は、総語数3600語ほど。21分くらいの長さなので、170WPMくらいの早さで話されている。