衆院選挙終盤に、さすが自民党、さすが共産党という大ニュースが入ってきた。しんぶん赤旗が、またまた、スクープ!
「裏金非公認に2000万円/公認と同額 自民本部が政党助成金」という、このしんぶん赤旗報道にたいして毎日新聞と日本経済新聞が後追い報道をしたが、他の一般メディアが無視もしくは消極的にみえるなか、あちこちのYouTubeで、この大ニュースが取り上げられている。
それにしても思うことは、偽装「非公認」とは、さすが自民党。それをスクープしたしんぶん赤旗。さすがしんぶん赤旗。さすが日本共産党というほかない。
これは、むかしから戦後政治史を観察してみて感じる特徴のひとつなのだが、「自共対決」が戦後の政治史を貫いているところは間違いのないところだ。
戦後、戦前の軍国主義の反省と反ファシズムという世界の流れから日本国憲法が成立し、平和で民主的で進歩的な日本をつくる大道が示された。けれども、世界情勢から、すぐに「逆コース」といわれる反動的うごきがめだつようになり、極東における工場としての役割を担い、経済成長をめざす。この頃、自由党と日本民主党の合併により自由民主党が結党された。その後、政権の危機を迎えると、新自由クラブなど党内分派や、野党も含めたさまざまな補完勢力もつかって、政権を維持してきた。自民党は政権維持しか考えてない。だからしぶといのである。一方、日本共産党は、戦前から一貫して反戦平和を貫き党名も変えていない。労働者階級を擁護する政党だから、戦後アメリカ合州国べったりであり、大企業を優遇する自民党に対決せざるをえない政党であり、事実、対決してきた政党である。
高度成長時代の経済状況によって中産階層にまわすものがあった時代を経て、失われた30年と呼ばれる低迷期に、自民党は、農村部や中間層のの基盤を失い、カルトに集票を依存するまで、身をやつしている。
つくづく思うのだが、野党共闘の問題でいえば、現有議席10名ほどの共産党。その存在価値を認めて共闘するのか。それとも、その存在価値を認めず、排除するのか。野党共闘においても、反共か否かが試金石となっている。
25年続いている自公政権でいえば、公明党はとうの昔に野党でなくなったことは言うまでもないが、自公政権の補完勢力というべき日本維新の会や国民民主党や参政党、日本保守党など、政策からみて、野党と言うことはできない。
したがって、いまの政治地図で野党といえるのは、日本共産党と社会民主党、れいわ新選組。そして立憲民主党くらいしかない。
この点で、立憲民主党の野田代表には問題がある。安保法制の問題でも、原発の問題でも、消費税の問題でも、立憲民主党の政策と立場が違って、野田氏はブレているからだ。野田氏は、自民党とどれほど違うのか、はなはだ心もとない。立憲民主党候補者のなかでも、たとえば、立場が明確なのは、最大注目選挙区のひとつである東京24区だ。はぎゅうだ光一氏と真っ向から対決している有田よしふ氏。統一協会と裏金問題に対決姿勢を鮮明に示している有田氏の立場は明確だ。元文部科学省事務次官の前川喜平氏も応援に入っているし、共産党の山添拓参議院議員も応援演説をおこなっている。反共でない選挙区は、真の野党と市民の共闘がすすんでいると言える。
それで、その萩生田光一氏だが、自民党「非公認」であるにもかかわらず、公認同額の2000万円が支給されているとすれば、なんら非公認的扱いはないということになる。
自民党にはいってくるお金は国民の税金からの政党助成金。国民の税金から今回の2000万円が支給されているということになる。
選挙が終わって当選となれば復党や役職復職も妨げないということになれば、これはまさに偽装「非公認」となる。自民党という党に幻想をもつことは許されない。今回のしんぶん赤旗報道ほど自民党の本質を明らかにしたものはないだろう。
さて、メディアでいっても、政権与党を助ける御用メディアか否か、反共か否かが試金石となっている。
今回の問題は、自民党本部から候補者支部への直接のまとまった資金提供である。素人ながら、本部から支部への直接のまとまった資金提供であるから、そこにむずかしいからくりはない。それが証拠に、森山幹事長がすぐに認めているではないか*1。だから、この問題は、ジャーナリストとしての記者魂を真剣に発揮すれば簡単にわかる問題ではないかと感じる。つまりやる気の問題だ。
さらに、追いかけ報道をおこなう場合の倫理問題。
学問の世界でも一般常識でも、引用先を明確にせず、自分のオリジナルであるかのように発言することは許されない。これもまさに偽装であると言わざるをえない。今回のしんぶん赤旗の報道を傍観、もしくは無視することも大問題だが、ニュースソースを明らかにすることに消極的であることも問題だ。差別的な扱いと言わざるをえない。こんな差別的な体質と、おそらく権力にすり寄るメディアでは、国民・市民のためになる報道などできるはずもない。
冒頭で書いたように、毎日新聞、日本経済新聞がしんぶん赤旗の後追い報道をおこなったが、朝日新聞など後追い報道に遅れた一般紙もあるようだ。NHKもニュース23も、後追い報道をしたようだが、当初それぞれニュースソースに触れることに消極的であったように聞いている。
メディアが今回のしんぶん赤旗報道を意図的に無視することは、国民に「自共対決」という本質から眼をそらせる効果を生み出す。本来争点を明らかにすべきメディアがむしろ争点隠しのステルス作戦に加担することになる。それは誰の利益となるのか明らかだ。
現在の日本政治において、あれやこれやさまざまな政治状況があるけれど、「自共対決」という本質が、ひとつの本質であることは間違いのないところだ。