マオリ語の3回目の授業が終わる

大学構内のマオリの装飾

 マオリ語の授業は、すでにマオリ語の日常会話に移っているのだが、進むスピードがどんどん速くなってきたようだ。マオリ語の語彙は全くゼロなので、ホワイトボードで講師のヘミが紹介する単語が累積的に増えてきている。全く頭にとどまっていないので、マオリ語の洪水に流され、翻弄されているような状態だ。
音声指導的には、いわばトータルエマージョンのような状態で、マオリ語に漬かりこんでいる。その分、授業中は、マオリ語に慣れた気分にもなるのだが、語彙に全く習熟していないので、ホワイトボードにマジックペンで単語や文が綴られている限り、なんとなく発音はできるのだが、「定着」というものが皆無で、かなり自習時間をとって自分で準備しないといけないという気になってくる。
「この会話表現には、別の表現もあります」なんて講師のヘミに言われると、私は「もうやめてくれ。最初のだって、まだ覚えていないのに」と心の中で叫ぶと、いつも私が隣に座らせてもらっている大男のホアニ(仮名)が笑っている。ペアワークの時など、彼に先生をやってもらっているくらい親切で優しい大男だ。
こんな状態なので、授業は、午前中の10時から始まり、途中5分ほど休憩があるのだが、2時間、教室にいるのがやっとだ。まさに、昼飯時間が待ち遠しい状態。「ご機嫌いかがですか」という意味の「カイテ ペーヘァクェ」(Kei te pēhea koe?)と、聞かれて、「お腹がすいています」という意味の「カイテ ヒアカイ」(Kei te hiakai)と、教科書を盗み見しながら、答えるのが精一杯である。このヘミという講師は、我々の教科書を結構、閉じさせるので、結構ハードなトレーニングである。「本を閉じて」もマオリ語で、いわばダイレクトメソッドを、説明もなく、取り入れている。本がプカプカ(pukapuka)であると何とかわかるのがやっとだ。後は文脈だけで、なんとなく、「本を閉じろ」と言っているのはわかるが、何も定着せずに、どんどん進んでいく。こんな感じだから、授業が終わると、ヘトヘトになってしまう。
 大学の帰りに文房具も安く買える安売り雑貨店のウェアハウスで、日本の単語カードのような洒落たものはないだろうが、単語カードらしきものを購入して、表にマオリ語、裏にイギリスとの訳を書いて、覚えようと思う。うちの学校の同僚のカナダ人のスミス(仮名)が単語カードで日本語を覚えていた姿を思い出す。