繰り返しになるけれど、ニュージーランドのテレビの議論のレベルは高い

TVグッドモーニング

 ニュージーランドのテレビは真面目だ。
 昨日の朝は、ナショナル党(National Party)の指導者ドン=ブラッシュ博士(Dr. Don Brash)が登場して、政策に対するいろいろな質問に答えていた。視聴者が、電話、電子メール、ファックスなどを用いて質問をする「グッドモーニング」という朝の番組である。
 たとえば、「移民政策はどうなのか。最近イギリス語も喋れない移民が少なくないが」と、視聴者が電話で質問する。ナショナル党のこの指導者の答えは、まず、ニュージーランド社会福祉を求めて移民が増えるのは、われわれの負担が増えるという点で賛成しかねる。ただし、移民の中には、資本をもってニュージーランドに来る者も少なくない。たとえ彼らがイギリス語は喋れなくても、ビジネスに来ているので問題はない。それにイギリス語は、身につけようと思えば、ニュージーランドに来てから身につけている人はたくさんいる。基本的に移民を排除する必要はないのではないか。ただし、繰り返しになるが、われわれの社会福祉だけを求め、結局われわれの負担になるような移民はダメと、その理屈が整然としている。これで、保守党の水準なのだ。
 また、ある学生視聴者から、自分は、5万NZドル(約350万円)も学費を支払っているが、学費が高すぎる。現在借金財政で、これでは到底暮らしていけないと、学生本人から電話がある。ナショナル党の指導者は、「学生本人と国の両者がどういう比率で教育費を負担するのかが重要だ」とまず述べて、「現在の学生は、大体四分の一を本人が、残りの四分の三を税負担者が払っている」と解説する。「学生本人の負担は少なくはないが、卒業後、仕事についた際に、借金を返済するに充分な給料を手にすることができるのではないか」と答えた。5万ドルという学費は、確かに高額で、おそらく医学系かもしれないし、単年度ではないかもしれない。このナショナル党の指導者の回答に対して、また別の保護者からの電話で、現在子どもを大学に通わせているが、卒業後の就職で補えないケースも少なくないという電話があり、司会者の女性も「そうですね」とうなずいている。
 私はよく知らないのだが、2003年に性産業、売春の問題で大きな議論があったようで、なんでもガイドラインを決めて、認める方向になったらしいが、そのことについてどう思うかという質問があった。このナショナル党の指導者は、売春について自分は賛成ではないが、そうした仕事をもっている女性に対しても尊重しないといけないのではないかというような意見を主張した。
 このナショナル党の指導者インタビューの番組のあとで、ニュージーランド売春婦団体(New Zealand Prostitutes Collectives)の女性が登場し、「性産業」(sex industry)、性労働者(sex workers), マッサージパーラー(massage parlor)などの用語を使いながら、極めて真面目に話をしていた。その中で、「『売春斡旋業者』『ポン引き』(pimp)ではなく、『オペレーションマネージャー』(operation manager)という用語を使うべき」という話をしていた。pimpは、通常はばかられる語彙だけに、それをoperation managerで置き換えるとは、すごい論理だ。通常なら、ごまかしの理屈となるところを、彼女はインチキ風ではなしに、誠実に主張していた。女性司会者も、「昨日、昨年決まった性産業に関するガイドラインを初めて読んだのだけど、詳細にわたっていますね」と、これまた誠実にコメントをしていた。
 前にも書いたけど、ニュージーランドの議論のレベルは高い。まず第一に、真面目だ。年金の問題すら真面目にマスコミで取り上げず、また取り上げたにしても浅い議論が多く、質的・量的に、よくわからない議論ばかりが横行している日本とは、エライ違いだ。前にも書いたが、専門家でもない、よく知りもしない、いい加減なタレントが、適当なことを喋っているだけの日本とニュージーランドの議論とは、残念ながら、天と地ほどの差がある。