ホテルで一休みしてから、バスに乗って夕食へと出かける。
今晩の食事場所は、中街近くの有名な餃子店・老辺(ろうべん)餃子館である。
その餃子屋さんがある中街は瀋陽故宮訪問時に行ったことがあるが、中街は、瀋陽随一の繁華街で、ここの人ごみはすごい。
そもそも今回の旅で、中国の交通事情ほど私を驚かせたものはない。
少しでもスペースがあると、そこに人や車が割り込んでくる。断言してもよいが、お上品な譲り合いの精神など持っていたら中国では道を渡ることなんて永遠にできない。それでも、中国で譲り合いの精神が全くないわけではない。中国的な譲り合いの精神というだけに過ぎない。ただ、そのリズムを取ることがむずかしいと思う。
中国では、片道三車線、四車線で、自動車がすごいスピードで走っている道路を、歩行者が渡らないといけない。こうした場合、家族連れなどの場合、道路や車線と平行に一列に並んでいる。凸凹に並んでいたら、自動車に引かれて確実にあの世行きだ。もちろん自動車の流れを観察することが重要で、急に走りだしたりしてはいけない。自動車の運転手に配慮するには、ゆっくりと、しかし判断よく、歩かないといけない。
「クラクションを鳴らすな」の意味なのだろう、瀋陽には、交通標識としてラッパのマークを禁じたものが眼につく。それほど中国人はクラクションを鳴らすのだが、これは、ムカついたり、イライラして鳴らすわけではないようだ。「ぶつかるよ」「危ないよ」という意味で鳴らしているような印象を持った。だから鳴らされた方も、「何故鳴らすのか」とムカついている反応ではない感じがする。
さて、中街近くの、この老辺餃子館は、180年の歴史をもつと言われ、中国でもとても有名な餃子屋さんだ。最近は、東京の新宿にも老辺餃子館ができたらしい。
いつものように丸テーブルにつくと、最初に焼き餃子が少しだけ出た。餃子と餃子がくっついているので、見た目はは、テーブルクロスのような感じだ。これだけが焼き餃子で、あとは蒸し餃子ばかりである。出てきた蒸篭(せいろ)の古さに、老舗としての年季を感じた。
この餃子館の男性店員さんたちの印象は、都会的で、とても良かった。