「大江健三郎氏、安倍首相呼び捨て批判「彼が話したことはウソだと思う」」

 以下、スポーツ報知 5月3日(日)18時10分配信から。

 日本国憲法の施行から68年を迎えた3日、各地で憲法記念日にちなんだ集会が開かれた。横浜市臨港パークで行われた「5・3憲法集会」では、ノーベル文学賞作家の大江健三郎氏(80)らが参加。大江氏は安倍晋三首相を7度も呼び捨てにして「彼がアメリカ両院で話したことはウソだと思う」などと批判した。

 主催者によると、3万人超の聴衆が集まり、大江氏が、ステージに立つと大きな拍手が起こった。大江氏は「理不尽で景気のいい話ではないが」と切り出し、安倍首相が4月29日に米連邦議会の上下両院合同会議で行った演説について「日本が集団自衛権を用いて、世界で起こる戦争に対して軍事的な抵抗をすると、安倍ははっきり言った。しかも、そのためにいくつも法律を作ると言った。しかし、安倍は国会で議員たちにはっきり説明していない。国民の賛同も得ていない」などと批判した。スピーチが熱を帯び「安倍首相」から「安倍」と呼び捨てになっていた。

 続けて「安倍の考え方は世界的な宣伝として成功している。日本でも成功しつつあると思う」と指摘。80歳の大江氏は「こういう大きな集会で話すのは最後になると思うが、私は平和と命の尊厳を基本に日本国憲法を守り、生かします。集団的自衛権の行使に反対し、戦争のためのすべての法制度に反対します」と信条を訴えた。

 大江氏が首相を「安倍」と呼び捨てにしたことについて、関係者は「長い間、いろいろなところで大江さんのスピーチを聞いてきましたが、いつも穏やかで人のことを呼び捨てにしたことはないと思う。相当怒っているのではないでしょうか」と驚いていた。

 集会には、大江氏のほかに法学者の樋口陽一氏、精神科医香山リカ氏らが参加した。