以下、朝日新聞デジタル版(2015年7月25日23時31分)から。
僧侶で作家の瀬戸内寂聴さん(93)と歌手の美輪明宏さん(80)が25日、被爆70年を迎える長崎市で対談した。安倍政権が安全保障関連法案の成立を急ぐなか、自身の戦争体験に触れつつ「このままだと第2次世界大戦と同じようにひどい目に遭う」と訴えた。
■安保法制「絶対に廃案にして」 瀬戸内寂聴さん訴え
この日、長崎県美術館で開幕した寂聴さんの半生を紹介する特別展(8月31日まで)の関連イベントで、約2千人が来場。寂聴さんが「だんだんと戦争の時代に似てきている」と語ると、長崎市出身で被爆者でもある美輪さんは、自民党の勉強会で報道を威圧する発言が出たことや安保関連法案を念頭に「国会議員が言い出しっぺの責任を取って鉄砲を担いで鉄かぶとをかぶって、まず第一に兵隊として出ていただくのがよい」と述べた。美輪さんは、戦時中に見た光景を涙をこらえながら紹介。戦地に赴く息子の足にしがみつき、「どんなことがあっても死ぬなよ」と叫ぶ母親が憲兵に突き飛ばされ、鉄柱にひたいをぶつけたという。「戦地で死んだ息子が最後に見た母親が、憲兵に突き飛ばされて血だらけになった姿。情けないじゃありませんか」「今また、同じことをやろうとしている。責任が重いのは選挙民。それを支持しているわけだから」
寂聴さんが最後、「いい戦争はない。戦争は集団人殺し。命をかけて反対する」「長崎と広島は世界にない、原爆のひどい被害に遭っている。みなさんが先頭に立って戦争に反対してください」と呼びかけると大きな拍手が起きた。(岡田匠)