「「何やってんだ!」「全部可決!」 怒号の中で採決」

f:id:amamu:20051228113106j:plain

 朝日新聞デジタル版(2015年9月17日20時40分)から。

 17日午後4時半、安全保障関連法案を審議してきた参院特別委員会。野党から出された鴻池氏に対する不信任の動議が否決され、鴻池氏が委員長席に座った直後、与野党の議員が委員長席に向かって殺到した。

 「何やってんだ!」「暴力反対」。与党議員が鴻池氏を中心に輪になって立ちはだかり、人垣をよじ登るようにして野党議員が伸ばした手は空を切る。約5分後、怒号が飛び交う中、与党議員が叫んだ。「全部可決!」

 16日夕から続いた与野党の対立は、日付が変わって激しさを増した。午前に野党が不信任の動議を提出。午後1時からこの動議について各会派の代表が意見を述べ、約3時間半後に動議は賛成少数で否決された。安倍晋三首相はその後に委員会室に入ったが、与野党議員のもみ合いが始まると採決の結果を見ずに退室。採決強行に、天井を仰いで涙を浮かべる議員もいた。

 甲府市の医療施設職員、伊藤要子さん(45)は、たまたま介護保険料についての陳情で上京し、委員会を傍聴した。「何が起きたのかまったくわからなかった」。密集していた議員がばらけた後、また審議が始まるのかと期待していた。「冷静に話し合うところを見たかったのに、あっけにとられた。こんな様子を見せられたら、将来、徴兵制にならないと言われても全然信用できない」

 一緒にいた大沼和久さん(44)もこの日、初めて審議を傍聴。騒然とする委員会室から「散会です」と衛視に促されて退室した。国会を出て、反対デモで可決を確認。一緒に傍聴した人の中にはスマホのニュースで可決を知る人もいた。「本当にひどい」

 東京都荒川区の会社員加藤悦子さん(38)は、採決の瞬間を参議院別館のテレビで見た。議員がもみ合う様子を見ていたら、その後に画面に「散会」の文字。「は? 最後がこれ?」。与党側がなぜこの法案を通したいのか、ほとんど聞けなかった。「こんなので決まったら、たまらないです」と無念そうに語った。(小寺陽一郎、小林恵士)