「同性愛「趣味みたいなもの」 ネット番組で自民・谷川氏」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年8月1日19時05分)から。

 自民党の谷川とむ衆院議員(42)=比例近畿、当選2回=が7月29日のインターネット放送で、同性婚のための法整備は不要との見解を示す中で、同性愛を念頭に「『趣味』みたいなもの」と発言した。同性カップルをめぐる杉田水脈(みお)衆院議員の主張に批判が高まるなか、同性愛者への無理解な発言が続いた形だ。

 谷川氏が出演したのはネットテレビ「Abema(アベマ)TV」の討論番組。作家の乙武洋匡さんが同性婚夫婦別姓を認めない政府に疑問を呈したのに対し、谷川氏は「多様性を認めないわけではないが、法律化する必要はない。『趣味』みたいなもので」と述べた。

 自民党は2016年作成の党内啓発用のパンフレットで、性的少数者について「本人の意思や趣味・嗜好(しこう)の問題との誤解が広まっている」と注意している。

 谷川氏はさらに、異性間だけに婚姻制度がある理由について「『伝統的な家族』のあり方は、男が女と結婚し、子を授かって、家族ができ、大昔から同じようなことをして、国を衰退させないように、国が滅びないようにしてきた」とも主張した。続けて「男が男だけ、女が女だけ好きになるとなったら、多分この国は……」と言いかける場面もあった。

 共演していたSEALDs(シールズ)元メンバーの諏訪原健さんは取材に対し、「国家の維持や繁栄に必要ないものに対し、政治は何もしなくてよいという発想。子どもをつくらない同性カップルは生産性がない、と主張した杉田氏の価値観に通じている」と批判した。

 谷川氏は1日、7月31日の朝日新聞の取材に書面で回答。「LGBTの方々を差別するつもりもなく、多様性を認めていないわけでもありません」とした上で、「申し上げたかったのは、(婚姻は、両性の合意のみに基いて成立すると定めた)憲法24条により現状では同性婚の容認は困難であるということ」と釈明した。朝日新聞は、党見解との食い違いや、杉田氏の寄稿との価値観の共通性について質問したが、それへの回答はなかった。(二階堂友紀)

谷川とむ衆院議員の主な発言(抜粋)

 (乙武洋匡氏が、国が同性婚や選択的夫婦別姓になぜ踏み切れないのか理解できないと提起。ゲスト8人のうち谷川氏のみが「そう思わない」のフリップを出す)

谷川氏:同性婚とか夫婦別姓、多様性を認めないというわけではないんですけど、それを法律化する必要ないと僕は思っているんですね。「趣味」みたいなもので。

他のゲスト:「趣味」?

谷川氏:はい。男の人が女の人を好き、女の人が女の人を好き、男の人が男の人を好きっていう、なんていうんですかね、事実であればそれはいいんですけれども、法律を変えるっていう意味ですよね? わざわざ同性婚認めますっていう法律は僕は作る必要はないと思ってます。

乙武氏:じゃあなぜ、男性が女性を好き、女性が男性を好きっていう「趣味」みたいなことを、結婚という法律で保護してるんですか?

谷川氏:これは結婚してですね、「伝統的な家族のあり方」っていうのであれば、僕の定義ですけど、男の人が女の人と結婚して、そこで子を授かって、家族っていう形態ができて、それを本当に大昔からずーっと皆さん同じようなことをして、国を衰退させないように、国が滅びないようにしてきたわけですよね。で、本当に、ちょっと想像してくださいね。もし男の人が男の人だけを好きになるとか、女の人が女の人(だけ)、これ極端かもしれないですけど、好きになるというふうになってしまったら、多分この国は・・・

作家の鈴木涼美氏:ならないですよ。

谷川氏:まあなんないでしょうけどね、というふうになるのと、まあちょっと言い過ぎかもしれないけど、そういうものに対して、やっぱり、わざわざ法律を作って婚姻関係を結ぶ、その意味が僕はちょっと分からないんですよ。

(略)

谷川氏:どれぐらいの人口がいて、基本的に我々は裏づけをしないと、そこに税金を投入するということがあるわけですよね。じゃあ国民の皆さんがどういうふうな思いであるっていうことも、しっかりと議論をしながら作っていかないと。そら僕もね、思いますよ。いいんじゃないかっていう思う反面もあります。でもしっかりと、それがマイノリティーの人たちをやっぱり救いたいという気持ちもありますけれども、マイノリティーの人たちって枠をどんどんどんどん広げてしまうと、これが絶対数のじゃあどれぐらいの割合があって、じゃあそれを認めてない、認めたくない人たちが国民の中でどれだけいてっていうのがあればですね、政策として立案して実現していくっていうためには、やはり税金、全ての国民からいただいていますから、しっかりとした形で国民の理解を得られるためには、もう少し議論が必要であろうと。

乙武氏:それは詭弁じゃないですか。参院の6増案にどれだけの国民が賛成しますか。全然議論が尽くされていない中で、あなたたちは法案通してるじゃないですか。なんで同性婚の時だけ議論が尽くされてないと言い訳するんですか。おかしいでしょ。

(7月29日に放送されたAbemaTVの「千原ジュニアのキング・オブ・ディベート」から)

谷川とむ衆院議員の取材への回答(全文)

 私は、LGBTの方々を差別するつもりもなく、多様性を認めていないわけでもありません。ただ私が申し上げたかったのは、婚姻について、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」との憲法24条により、現状では、同性婚の容認は困難であると言うことです。

 今後は、党において法律案策定に向けて議論が本格化しますので、私も積極的に参加して行きたいと思っています。

(8月1日、朝日新聞の取材に書面で回答)