「核兵器は必要悪ではなく絶対悪」とサーロー節子さんはICANのノーベル平和賞授賞式で述べた。
たとえば、タバコを吸った高校生を指導する教師が、タバコを吸いながら指導をするのでは、説得力に欠ける。タバコの害を説くならば、いっしょにタバコを止めたほうがよいだろう。また、銃をもつ権利を説くアメリカ合州国で、銃による死亡は必要悪で仕方がないと考える人がいたとしても、銃による死亡事故が3万人を超えるとしたらそのことをどのように考えたらよいのだろうか。多くのアメリカの高校生が立ち上がっているように銃を規制すべきだろう。これが簡単ではないのは、ビジネスがからんでいるからだ。
たとえは違うかもしれないが、核兵器禁止も同じである。核兵器をもって脅しながら、核兵器をもっている国に核兵器を廃絶せよと言っても説得力に欠ける。
本書は、ノーベル平和賞を授賞したICANの構成団体のひとつ日本のピースボートの事務局長の川崎哲さんが書かれた岩波ジュニア新書だ。
日本は、サーロー節子さんのいう「核の傘」なるものの下で「共犯者」となっている国々の政府のひとつであろう。
日本はどうあるべきか、どうすべきかを考えるに、本書が役立つ一冊であることは間違いない。