こんなに悔しい気持ちは初めてだ

 テレビを抱えてコンドに戻り3階の私の部屋に入ると、疲れがどっと出た。悔しくて仕方がなかった。こんな悔しい気持ちは初めてだ。実際問題として金の問題なのだが、金が問題なのではないと思えてしまう自分の発想も腹立たしい。許せないと思いながらも、どうしてよいのかわからない。自分の住んでいるコンドの名前を話したことも良かったのかどうかも、わからない。
 すると突然、ノックがあった。誰かと思ったらコンドのガードマンのドアマンだった。チェーンをはずしロックを開けると、Judith(仮名)からの私宛のメッセージのメモを持ってきてくれていた。メモには、「テレビを買いましたね、高い値段(overcharge)で売ってしまったので、返金したい」と書いてあった。ガードマンに礼を言い、階下のロビーに行く。Judithは最近やってきたこのアパートの管理人であり、もちろん私がアパートを決めるときにいろいろな話をして知っていた。
 Judithに一部始終を話そうと思ったが、10のうち1も言えなかった。外国語とはもどかしいものだ。彼女の話では、その店から電話があって、間違えてお金を取りすぎたから来て下さいという内容で、丁寧な電話だったから、ともかく行ってごらんなさいと言う。のこのこ行って殺されはしまいかと私は考え、行っても危なくないかとJudithに尋ねると、まず大丈夫だろうと言う。ともかく行ってごらんなさいとJudithに再度言われて、行くことに決め、アパートを出る。