クライストチャーチという街

 さて、いま向かっているクライストチャーチは、イギリス以外では最もイギリスらしい街と言われている。ところで南島には、ここクライストチャーチから360キロほど南に下ったところにダニーデンという街があり、このダニーデンスコットランド教会がつくった街で、これにならいイングランド教会によって設立されたのがクライストチャーチに他ならない。だからクライストチャーチは、イングランド人がつくった街と言ってよいのである。
 クライストチャーチへの最初の移民は1843年に来たディーン兄弟であると言われているが、ダニーデンと同様の主旨で街づくりをしようと、カンタベリー協会が組織した四隻の船がクライストチャーチに着いたのは1850年のことだった。この移民の中にジョン=ロバート=ゴドレーという人物がいて、彼が始祖と言われているのだが、彼がオックスフォードのクライストチャーチカレッジの出身であったことから、これが街の名前の由来になっているのである。
 クライストチャーチの地形は平坦で、ここはサイクリングに適した街である。タクシーの車窓から、エイボン川の川下りが見える。クライストチャーチでは、エイボン川のこの川下り(パンティング)が大変有名だ。車はすでに市内の中心に入っており、街の中心に位置しこのクライストチャーチの象徴ともいえるカンタベリー大聖堂が見えたと思ったら、インフォメーションセンター前に車は滑り込んだ。タクシー代は29.0NZドルだから、2030円ほどか。
 クライストチャーチを代表するこの大聖堂は、ニュージーランドの英国教会の中でも最上級に位置づけられる高さ63メートルの堂々たる大聖堂であり、この大聖堂を見あげることからクライストチャーチを訪れた旅人はその旅を始めるのである。大聖堂の前にはカテドラル広場が広々と広がっており、隣接するインフォメーションセンターも、カンタベリー大聖堂に合った石造りの建物になっていた。
 順番を待ちながらその対応を見ていると、インフォメーションセンターの人はみな親切そうである。まず今夜の宿を決めて市内観光へ出かけるつもりだが、始めにこの旅行荷物をなんとかしないといけない。近くのインターネットカフェに荷物を預けられるというので、インフォメーションセンター前のインターネットカフェへ行く。一つの荷物を一日預かってもらって、3ドル。知人にメールを出す必要もあるので、インターネットの使用料も聞いてみると、好きなときに1時間、3回使える券で、5ドル(350円)だというから、これは利用価値が高い。パソコンの台数もかなり多い。多くの若い人たちがディスプレイに向かっている。滞在中はこのカフェを使ってメールのやりとりをすることにしよう。