食べ方は一応、西洋風でやってみた

 日本人は、味噌汁、ご飯、おかずを一緒に食べるが、アレックスとジュディの家では、まずスープをたいらげ、それからメインディッシュを付け合せの温野菜といっしょに食べる。この癖がついてしまって、まず大根としいたけの味噌汁をいただくことにした。これは結構うまくできていた。
 次に、メインディッシュだが、陶器のデカ皿に入れかえて、オーブンで少し温め直しておいた。自分の食べる皿も料理も温めて、熱々をいただくのが、ジュディのやり方だからだ。
 サラダとマッシュポテトは、すでにテーブルの上に置いてあるので、オーブンで温めておいたメインディッシュをテーブルの上に置く。
 これまた一緒に温めておいた自分の取り皿に、マッシュポテト、冷サラダ、そしてメインディッシュのタラキーを乗せて、フォークとナイフでいただく。こちらも、なかなかうまくできた。ニンニクとバターのソースが白身魚のタラキーと絶妙のマッチングだし、他のサラダやマッシュポテトなどの付けあわせのソースとしても合う。
 メインディッシュを堪能していたら、ご飯を炊いていたのを忘れていた。炊飯器をみてみるとご飯はおいしそうに炊けている。これを日本から持ってきた焼き海苔でいただいた。炊き立てのご飯と焼き海苔は最高だけれど、この焼き海苔は、私の嫌いな調味料味のきつい、べとべとと照かっている奴だ。他にないときは仕方ないので食べるけれど、なんであんな風な味つけにしてしまうのだろう。科学調味料なんてつけない方が日本のノリはおいしいのに。
 皿に盛りつけたご飯が少し残ってしまったので、タラキーをもう少しいただくことにした。
 もう24年も前の話になってしまうが、私のはじめての外国滞在はアメリカ合州国の8ヶ月が最初だったのだけれど、そのとき食べたカリフォルニアのローズ米などは結構うまかった。アメリカ人も米は食べる。だけど私の観察では、彼らはつけ野菜の一種として米を食べるのであって、われわれのように、米を主食に食べるわけではない。ということで、彼らは野菜の一種として米を食べるから、ご飯が主食の私としては、ご飯が入ると、とたんに西洋式マナーとしての食べ方がぎこちなくなってしまう。ジュディのつくるティー(ディナー)はおいしいのだけれど、いつも何か物足りないと思うのは、ご飯がないことである。大体ジュディの家は、お茶碗からしてない。ご飯が中心に位置づく条件がないのである。ニュージーランドでお茶碗を買うつもりはないが、この辺はなんとか、食生活の仕方の中で折り合いをつけないといけない。
 多分、味噌スープを最初に平らげて、メインディッシュや温野菜と一緒に、深皿でご飯も出して、ノリかなんかで手で食べるのがいいかもしれない。
 こちらの調理器具や、オーブンや、電気ヒータには慣れていないけれど、今日はじめて一人で料理をしてみて、料理もなんとかなりそうだ。なんといっても、肉・魚・野菜といった食材が安いし豊富だから、時間があれば、少しこちらの料理方法も勉強してみることにしよう。