ワイロア博物館の感じのいい女性二人と話をする

 ワイロア博物館に行ってみると、入場料は、コハ(Koha)とある。マオリ語で、寄付の意味だ。
 ここの展示は、ネイピアの博物館などよりもずっとましな印象を受けた。
 二人の白人女性が受付にいるのだが、感じもいい。
 マオリの展示もそこそこ充実しているし、今回は、ワイタンギデーから一定期間マオリの特集をおこなっているようだから、飾りっぱなしというのでもない。
 マオリの協力がなければこうした展示はできないと判断した私は、「いくつか質問があるんですけど」と言って、彼女たちと話をした。
 やはりこの博物館はマオリと共同して展示をしているようだ。彼女たちの話では、ワイロアでは、マオリとの共同関係が悪くないという。
ところでワイロア(Wairoa)とは、「長い水」という意味だ。*1たしか一番長い川はワイカト川だと聞いていた私はその話を切り出すと、どれが一番長い川なのかは、結構論議があるという。
 「ワイロアの川の沿岸には、ツナ(うなぎ)などを常食にしていたマオリの村があったのでしょう。ここに展示してある魚籠は、うなぎ用ですか」と聞くと、うなぎ用はもっと細長い魚籠で、これは海岸のクレイフィッシュ用だと説明してくれた。
 この二人の初老の女性は、一人は受付をしながら、新聞の切抜きを整理しているのだが、もう一人の女性がとくに親切で、テ=クーティ(Te Kooti)なら、この著者のものがよいと教えてくれた。
彼女の娘さんはビクトリア大学で、教育分野で講師をしているようだから、いろいろモノを知っているようだ。
昨日映画館で見た映画がよかったという。
歴史に興味があるなら、是非観たほうがいいと二人で薦める。なんでも、マオリのハカや、ハンギ、第二次世界大戦に出征したマオリ兵の帰還を歓迎する様子など、ワイロアにまつわる古い映像を見ることができるようだ。
だけれども、この話は、日系アメリカ人の武勇伝のようなところがあり、マオリ同化政策とも関連して考えないといけない問題があるように思う。
前にも書いたが、マオリの部族の中には、第一次世界大戦第二次世界大戦にも否定的で参加しなかった部族もいる。いわばこれは世界大戦は白人の戦争で、マオリには全く関係がないという思想的立場を示したものだ。マオリにとっては、白人との戦いがまさに戦争であったのだから、これは理のある考え方だ。あの世界チャンピオンに何度も返り咲いたモハマド=アリが、ベトナム戦争を拒否したことと類似する話である。
上映時間を聞くと、午後1時30分に上映する奴がある。
 そこにたまたま地元のマオリの男性が来て、私たちが話題にしていた映画の切符を売っているかと聞きに来た。今ちょうどその話をしていたのよという話の展開になったのだが、これはいかにも村の映画上映会のような、地元らしい雰囲気である。
 上映時間までまだ時間があるけどどうしようかと考えていたら、このマオリの男性から、町のはずれでロデオをやっているからロデオ見物でもしたらどうかという。
 昼飯代わりに、カフェで、シーフードチャウダーをガーリックブレッドと一緒にいただいてから、ロデオ見物をしに行った。短時間しか見るつもりはないのだけれど、10ドルの入場料を取られた。

*1:ワイロアのロアは、アオテアロアの最後のロアと同じ用法で、ロアはマオリ語で「長い」という意味である。