「国連人権理事会で辺野古ノー 翁長氏「沖縄ないがしろ」」

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 朝日新聞デジタル版(2015年9月22日01時29分)から。

 沖縄県翁長雄志(おながたけし)知事は21日午後(日本時間22日未明)、スイスの国連欧州本部で開かれている国連人権理事会に出席し、「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と述べ、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の県内移設反対を訴えた。日本の都道府県知事が同理事会で発言するのは異例。

 翁長氏は各国代表の外交官やNGOメンバーらを前に約2分間、英語で発言。国土面積の0・6%の沖縄に在日米軍専用施設の73・8%が集中する状況を挙げ、戦後70年たっても事件事故や環境問題が起きていると説明。「自国民の自由、平等、人権、民主主義を守れない国が、どうして世界の国々と価値観を共有できるのか」と日本政府を批判した。普天間飛行場の同県名護市辺野古への移設計画についても、「あらゆる手段を使って新基地建設を止める」と述べた。

 人権理事会参加は、翁長氏を支援する市民団体や理事会で発言権を持つ東京の人権NGO「市民外交センター」が中心となって進め、同センターの発言時間を翁長氏に提供した。

 翁長氏の発言に対し、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部の嘉治美佐子大使は「安全保障の環境が厳しくなる中で、日本政府にとって国民の平和な生活を守るための国家安全保障を確かにすることよりも重要なものはない。日本政府は沖縄の米軍の与える地域社会へのインパクトを減らすことに最も重点を置いている」などと反論。演説後、記者団に「米軍基地の問題を人権の促進を扱う人権理事会で取り上げるのはなじまない」と述べた。

 理事会に先立ち、翁長氏は国連欧州本部内で同センターなどが開いたシンポジウムにも出席。「(米軍基地を)国民全体で負担できない日本政府のせいか、知らんぷりを決め込む米軍のせいか。誰が真犯人か、日本、米国の民主主義が問われる」と日米両政府の姿勢に苦言を呈した。

 また、米国の通信社の記者から辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した後の対応を問われると、「法廷闘争の準備に取りかかっている」と明らかにした。

 シンポには外交官やNGO関係者、国連職員ら約50人が集まった。インターンとして国連で働くオーストラリア人の大学生ジュリアナ・キッテルさん(22)は「すごくショック。日本に住んだことがあるが、沖縄で起きていることを知って悲しい。沖縄の若者はもっと世界に出て、沖縄の現状を訴えてほしい」と話した。(ジュネーブ=上遠野郷、松尾一郎)