デジタル大臣は否定するが、マイナンバーカード公金受取口座・家族名義13万件は、登録者に起こりがちな「ヒューマンエラー」であり、「誤登録」であり、それらをはじかない「システムのエラー」ではないのか

 河野太郎デジタル相は、日本語の使い方を間違えている。

 「公金受取口座、家族名義が13万件」について、「システムのエラー」ではないと言い切ったが、これは明らかに「ヒューマンエラー」と「誤登録」をはじかない「システムのエラー」である。

 「公金受取口座、家族名義が13万件」について、毎日新聞は次のように報じている。

 「河野太郎デジタル相は7日、マイナンバーと連携した公的給付金の受取口座約5400万件を点検した結果、本人名義ではない口座が誤って登録されていたケースが748件あったと発表した。また、家族内で同じ口座を登録していたケースが約13万件あったことも明らかにした」(「毎日新聞」2023年6月7日)。

 同問題を東京新聞は以下のように報じている。

www.tokyo-np.co.jp

 この問題については、以下のじゅんちゃんの哲学入門講座が詳しい。

www.youtube.com

 河野太郎氏は、次期首相候補として人気があるらしい。またツイッターでは「ブロック太郎」として知られているらしい。号令一下で独断で物事を決めることで「仕事ができる」というイメージをふりまいているようだが、本当にそうだろうか。

 そもそも設計者の意図をマニュアルに書いて示していたように、給付金が支払われる際に本人名義の預金口座でないと振り込まれないのが仕様であるというとき、登録システム上、本人以外の名義の預金口座で登録できてしまうということ自体がシステム上のエラーというべきだろう。登録システム上において、本人以外の名義で登録をしようとすれば、そうしたエラーをシステム上システムがはじくというのが、本来、システム構築上の常識といえるだろう。つまり、預金口座の名義登録の際に、本人以外の名義では登録自体ができず、登録が完了しないというのが本来のシステム構築の仕様なのではないだろうか。自分はシステムエンジニアではないけれど、こんなことは常識だろう。

 ところが、河野太郎デジタル相にとっては、これが常識でないようだ。

 杉尾秀哉参議院議員立憲民主党)のなぜこれまで黙っていたのかという質問に対して、河野太郎デジタル相は、次のように回答している。

 「家族が同一口座に紐づけをするというのは、これは誤登録とか、誤った紐づけではありません。これは本人が意図して違う名義の口座にマイナポータルを通じて紐づけをするということですから、これはヒューマンエラーでもシステムのエラーでもない。…おそらくお子さんへの給付を親御さんが管理をしようとか、あるいは口座をひとつにして、出入金を明確にしようとか、いろんな理由があったんだろうと思いますが、ご本人が意図してそういうふうにやられたわけでございます」(河野太郎デジタル相、2023年6月5日)。

 この回答の中の、「お子さんへの給付を親御さんが管理をし」たいとか、「口座をひとつにして、出入金を明確にし」たいというのは、国民にとってはよくわかる想定であろう。そうした想定される「誤登録」をシステム上はじくというのがシステム構築の常識ではないのか。そんなことにも思いが至らない者がデジタル相をやっているのか。

 もしかして、これは言い間違いではないかと、続けて答弁を聞いてみると、次のようにも回答している。驚くべきことに、これは大臣の言い間違いではないではないようだ。

 「これは、誤登録でもなければ、システムエラーでもありません。それぞれの方々がご本人の名義で口座登録をして下さいというものを意図的に口座を寄せたということがあったわけでございます。・・・ご本人が意図してされたわけでございますので、これはたびたび申上げているようなヒューマンエラーではなく、またシステムのエラーでもございません。これはご本人に補正をお願いをしていくということになります」(河野太郎デジタル相、2023年6月5日)。

 そうであれば、これは河野太郎大臣の認識が誤っている。

 繰り返しになるが、まず、そもそもマニュアルに設計者の意図を書いているように、給付金が支払われる際に本人名義の預金口座でないと振り込まないのが仕様であるのだから、登録システム上、本人以外名義の預金口座で登録できてしまうということ自体がシステム上のエラーというべきだ。

 ヒューマンエラーとしての「誤登録」を避けるしかけを登録システムに入れておくのがシステム構築であるべきなのだから明らかにこれは「システムのエラー」なのである。

 一言で言えば、登録者に起こりがちなよくある想定される「ヒューマンエラー」であり、まさに「誤登録」であり、それをはじくことのできない「システムのエラー」に他ならない。

 河野太郎大臣は、デジタル相である。こんなことがわからないのでは、デジタル相にふさわしい資格があるとは到底いえない。故安倍晋三元首相の「幅広く募っているという認識だった。募集しているという認識ではなかった」と、募っているけど募集はしていないというでたらめの日本語と同じように、日本語の使い方がでたらめだ。その意味では、「底抜けのポンコツ」と言われてもしかたないだろう。

 詳述は避けるが、そもそも、岸田政権は、やるべきことをやらず、やってはならないことをやるアベコベ政治において、安倍政治以上に強権的で、悪法を次から次へと通している。

 やるべきことをやらず、やってはいけないことをやっているアベコベ政治。岸田政権は、安倍政治以上の強権体質で勝手に大軍拡や入管法改悪など、閣議決定で決めたとしてしまったり、数の論理だけで悪法につぐ悪法を次から次へと通している。

 そもそもマイナンバーカードは、「マイナ保険証」に他人の情報が登録・コンビニで他人の証明書発行・登録抹消の印鑑登録証明書が発行・住所変更未反映の証明書が発行・公金受取口座が別人のマイナンバーに登録・マイナポイントが他人に付与など、問題だらけだ。

 マイナンバー制度では、国民支配をもくろんでいること。そもそもマイナンバーカード導入自体に莫大な利権がからんでいること。マイナンバーカード導入は、そもそも、国民のためを考えてのものではない。したがって、ミスや問題を隠ぺいするのは当然のことだ。

 保険証をマイナンバーに紐づけて紙の保険証をなくすという悪法が6月2日に採決されたが、エサで釣り、性急のあまり、これほどずさんなマイナンバーカード自体がまさに悪政による「ヒューマンエラー」であり、マイナンバーカードの問題は、今後日々ますます明らかになっていくだろう。

 マイナンバーカードのゴリ押しは、今後、ますます、その問題性が白日の下にさらされることになるだろう。