いよいよ東京都知事選。
まず、指摘しなければならない点は、現職の小池百合子都知事の評価についてである。
日本語では「ウソでしょう」は「冗談でしょう」(You must be joking/kidding.)の意味で使われることも多く、「ウソつき」が軽い意味で使われることもありますが、英語で、「ウソをつく」(tell a lie/tell lies)とは、「本人はそうでないとわかっているのに意図して真実でないことを言う」(make a statement one knows to be untrue)/ deliberately tell someone something that is not true)という意味で、「ウソつき」とは、信用に値しない人間(人格)ということになり、政治家としては全く不適格な人物ということになります。
「学歴詐称疑惑」と報じられている小池百合子氏の「カイロ大学主席卒業」ですが、これは、まさに「本人はそうでないとわかっているのに意図して真実でないことを言う」という意味でのウソになります。「女帝・小池百合子」も一読しましたが、最近さらに小池氏を身近に知る方々の証言を見聞きするにつけ、小池氏が大ウソつきであるとの感をますます強くする。そもそも、学歴など、卒業後のその後の人生の生き方がより重要であり人物評価にはたいした問題ではありませんが、小池百合子氏の場合、71歳になるまで、一貫して、ウソを貫き通していること。またそうしたウソつきに重要な日本の政治を担せてきたという点が大問題です。
もうひとつ小池百合子氏の人生で一貫していると思える点は、とりわけ政界入り後、ときの権力者と金権にすり寄る生き方です。そして、権力を握るためには平気でウソをつく。これも一貫しています。強いものに近づき、味方になって勝ち上がる。味方でも、結果を出せなければ、いとも簡単に切り捨て踏みつける。踏みつけられたものは少数だから、たとえ暴露されても、当面大勢に影響はない。大多数を騙すことが目的だから、味方を踏みつける非情さも、自らの政治姿勢の一貫性のなさも、そこには全く興味がない。
自民党都連を「ブラックボックス」と"敵"に見立てて8年前に知事となった小池百合子氏は、いまやぐるっと回って、自らが都民不在の「ブラックボックス」そのものに化けてしまいました。小池氏が三選を果たせば、裏金・統一教会の萩生田が出てくる。萩生田が喜ぶと言われています。これをよく「変質」といわれますが、百合子氏の権力志向・上昇志向・金権志向は変わっておりません。むしろ反自民・都政改革を託した一票一票に対する百合子氏の裏切りが問題であり、ウソつきということに他なりません。
あの希望の党をつくるときに用いられた「排除します」という小池氏の冷たいコトバ。これは、当時、安倍政権打倒と原発ゼロを言いながら、安保と改憲をめぐって、護憲派リベラルを「排除」するまさに野党を分断する「踏み絵」となるコトバでした。小池百合子氏という人格は、常に自分ファーストであり、独裁者であり、反民主主義者であると言えます。
「情報公開」が「1丁目1番地」と喝破していた百合子氏の近年の都議会での「答弁拒否」はまさに「都民不在」というべき実にひどいものです。平気でウソをつき人を騙すペテン師に、3期目の都政を任せることはできません。
彼女のインチキさが誰の目にも明らかになっていれば簡単なことなのですが、テレビ映りにしか関心のない百合子氏の正体は、いまや権力に支配されてしまったマスコミが意図をもって小池氏の正体を報道しないために、われわれが日常にかまけているとなかなか見えにくい。まさにペテン師のやり方です。昼間には700名もの人が食料支援を求めて列をなす都庁でのプロジェクションマッピング等で、大金(税金)が転がり込む五輪談合の電通と博報堂が、テレビを支配し、テレビで重用される御用タレントが百合子氏の本質に言及するはずもないため無理もないのですが、それでも、YouTube やネット上で、まさに8年間の「実績」によって正体が露呈しつつあるいま、千載一遇のチャンスを迎えていると言えます。
コロナ禍で規模の小さなオリンピックをと言っていたのに結局は経費の膨れ上がった東京オリンピック。そもそもオリンピック自体がいかがわしい。オリンピックを口実にして、黒幕・森喜朗元首相や故安倍晋三氏・二階氏、石原慎太郎氏・小池百合子氏らによる東京再開発の悪巧みは、まさにボロ儲けの利権の総合デパート。東京都からの14名もの天下りがスクープされた三井不動産による儲け第一主義の環境破壊に他なりません。「築地は守る、豊洲は生かす」と言っていた築地移転問題。ところが「築地市場を守る」どころか、どんどん開発されて、しかも、どんな検討がされているのが一切公開されない。いまや読売巨人軍のスタジアム案が再浮上し、「食のテーマパーク」案は雲散霧消、どうなるのか皆目わかりません。東京オリンピック跡地利用の晴海フラッグを見てもわかるように、9割の値引きで売却するという大手ゼネコン優遇・投機目的のための開発であり、都民の暮らしとは無縁です。これでは東京の出生率が099と1.00を切っても無理もないではありませんか。
こうした東京「再開発」によって、故坂本龍一氏が小池都知事に手紙で、桑田佳祐さんが歌で呼びかけた環境破壊ストップの問題として、神宮外苑・日比谷公園・葛西臨海等の樹木伐採問題があります。小池百合子氏が三選を果たせば、東京の景観は大きく変わり、格差社会はますます進んで、共有・公用のコモンであった東京は手のつけられないところまで破壊されてしまうでしょう。
あの故安倍晋三氏がなぜ長期政権を続けることができたのか。なぜトランプのような人格が大統領になれるのか。なぜパーティー券をやめない小池百合子氏が都知事三選をめざせるのか。
まったく理解に苦しみます。
世界を見渡せば、独裁者ばかりが眼につく世界になってしまいました。日本も、憲法九条も空文化させて、いまや戦争待望論も、絵空事ではありません。
小池百合子氏の正体を正確に理解して、裏金・カルト・統一教会・日本会議・自公プラス補完勢力の萩生田ユリコの三選を許してはなりません。
一方、懸念されるのは、市民と野党の共闘のレベルです。
市民と野党の立憲民主党・共産党らによる候補者選定委員会は、社民党も蓮舫氏支援を表明しましたが、おそらくは消費税に関する政策不一致や野党幹部に対する不信感からか、れいわ新選組に至るまでの野党共闘とはなっておりません。
たしかに、たとえば立憲民主党の幹部の権力志向的傾向は懸念すべき点であり、オール東京といいながら、市民と野党共闘の統一戦線のレベルは十分とは言えません。候補者乱立という引っ掻き回しや分断も手伝って、とりわけ石丸伸二候補の持ち上げには安倍晋三元首相のゴルフ仲間だったドトール名誉会長や安倍晋三元応援団による野党分断の働き(蓮舫つぶし)が期待されているようです。
れいわも含めて、より大きな、市民と野党の共闘・統一戦線がつくれなければ勝利を得ることはできません。
7月7日七夕決首都決戦まで、残り2週間を切りました。情勢はいまだ流動的です。日本の未来を決する重要な選挙戦であることは間違いありません。