昼食後の散歩

 昼食後、散歩に出ようということになった。眺望のいい場所に行くために小道を登っていく。頂上といってもたいしたことはないが、頂上付近のベンチで、エイブルタズマンのイメージ写真を撮るために、眼下に見下ろしている砂浜とこの高台とで交信をして、モデルにポーズをとらせたりするんだとパニアが説明した。今日一日で私はシーカヤックを終えるが、同行の三人は明日もシーカヤックをおこなう予定だ。入り組んだ海岸線を眺望できる頂上で、今日のルート、そして明日以降のルートをパニアが説明する。
 メルボルンのこの若夫婦は、福岡で英語教師をやっていたらしく、日本に滞在していたことがあるという。日本の学生たちが自分たちのことを映画スター並みに扱うのがすごかったらしい。実際「自分の旦那などは、ブラッドピット並みの扱いだった」と言って笑った。「普通の一般人なのにね、私達って」と続ける。それにしても来日したことのある人たちの中で、英語を教えに来日するというパターンが多すぎやしないか。リンもリンの旦那も大変好感のもてるいい人達で、これは全く個人攻撃でないのだけれど。
 散歩道を帰りながら、映画俳優のショーン=コネリー(Sean Connery)の話し方が素敵だとか、ヒュー=グラントの発音がいやらしいだとか、英語の発音の差異を話題にしている。彼らはそれぞれニュージーランド、オーストラリア、イギリスはスコットランド出身だから、みな英語文化圏の中の出身者である。ショーン=コネリーといえば、スコットランド出身のナショナリストとして有名なので、スコットランド系の発音ということになるのだろう*1
 正直に告白すると、私が英語教師になったばかりのときにはイギリス英語とアメリカ英語の違いなんてさっぱりわからなかった。というよりも、かけだし教師のときは英語そのものがわかっていなかったと言うべきなのかもしれない。今は、それなりに「修行」を積んできたので、イギリス英語とアメリカ英語の違いくらいはわかる。けれども、もっと細かな英語の中のバリエーションとなると正直いって自信がない。ヒュー=グラントの発音がイギリス風だということはもちろんわかる。ただ、彼の発音は彼個人の個性とも思っていたが、そうでもないらしい。言われてみれば、そんな気もする。

*1:ジェームズ・ボンド役をこなしたショーン・コネリーの発音がスコットランド訛りが強いとは言えないが。