Creedence Clearwater Revival の "Fortunate Son"(1969)

 今年は「新しい戦前」になるかもしれないというタモリさんのコトバが脳裏からはなれない。

 新春にあたり世界の平和を願わずにはいられない。

 Creedence Clearwater Revival(CCR)は1967年から1972年にかけての4年余りの活動の中で"Proud Mary"(1968) "や、"Bad Moon Rising"(1969) "、"I Heard It Through the Grapevine"(1970)、"Have You Ever Seen the Rain"(1970)など、数々のヒット曲を出した。

Fortunate Son

 CCRの"Fortunate Son"(「幸運の星の下に生まれた子弟(特権階級の息子)」)は、ベトナム戦争最大の転機となったテト攻勢の翌年1969年11月に発売され、これもビルボード3位となるヒットとなり、カウンターカルチャーベトナム反戦運動の代表曲となった。発売前年、アイゼンハワー元大統領の孫と翌年大統領となるリチャード・ニクソンの娘の結婚を頭に置いてジョン・フォガティによって書かれた2分半にも満たないこの唄*1に溢れているのは、国会議員や大金持ちなど特権階級の子弟が愛国心を鼓舞し戦争に賛意を示しながらも自らはいろいろな理由をつけては徴兵を逃れたり税金逃れをおこなって国や社会に何ら貢献をしない一方、大義なき戦争に説明もなしに駆り出される一般の青年たちや恵まれない青年たち*2、その殺される側としての怒りであった。
 かかとの骨の異常を理由にベトナム戦争で徴兵猶予を何度もした特権階級の代表でもあるトランプ候補は、ジョン・フォガティが曲の使用を止めてもらいたいと使用中止命令を書面で伝えても、これを無視して、2020年米大統領選でヘリを用いた集会への入退場の際に何度もCCRのFortunate Sonを使い、さらに翌年ホワイトハウスを去るときにもこれを大音量で流した。

 

 恨み・恨まれ、殺し・殺される社会を変えて、すべての人にとって安全・安心な社会を!

 

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 以下、拙訳。

幸運の星の下に生まれた子弟(特権階級の息子)


この世にはあの赤白青の国旗を振るために愛国心に富んで生まれてくる奴がいる
そして「大統領万歳」を楽隊が演奏するとき
主よ、大砲がお前に向けられるんだ

俺は違う 俺は違う 俺は上院議員の息子なんかじゃねぇ
俺は違う 俺は違う 俺は幸運の星のもとに生まれた特権階級の子どもなんかじゃねぇ

 

この世には銀のスプーンを手に持って生まれてくる奴がいる
主よ、奴らは自分で自らを助けないのか
でも税務署が家に来ると
奴の家をがらくた市のようにみせるんだ、そうなんだぜ

俺は違う 俺は違う 俺は大金持ちの息子なんかじゃねぇ
俺は違う 俺は違う 俺は幸運の星のもとに恵まれた特権階級の子どもなんかじゃねぇ

 

星条旗を愛する考えを受け継ぐ奴がいる
そいつらこそがおまえを戦地に送るんだ
「どれほど貢献しないといけないのか」とおまえが尋ねると
「もっと、もっと、限りなんかない」と奴らは答えるだけ

俺は違う 俺は違う 俺は軍国主義で育てられた息子じゃねぇ
俺は違う 俺は違う 俺は幸運の星のもとに生まれた特権階級の子どもなんかじゃねぇ

 

Willy and the Poor Boys

 

*1:The Meaning of Creedence Clearwater Revival's "Fortunate Son" - Extra Chill

*2:ベトナム戦争で戦地に駆り出されたのは、一般の白人の子弟もそうだが、とりわけ黒人米兵が厳しい戦地に送られた。