久しぶりに聞いたCar Talkのトークはやはり面白い

Car Talk

“Click and Clack, the Tappet Brothers”として知られるTom and Ray MagliozziによるCar TalkというNPRの番組は、1977年から始まり、いまや588のラジオ局で、410万人が聞いていると言われている人気番組だ。
http://www.npr.org/
http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=2100834
http://en.wikipedia.org/wiki/Car_Talk
 日本で自動車に乗ることは、車検にしても、ガソリンスタンドにしても、至れり尽くせりだから*1、日本の平均的ドライバーは、車について何も知らなくても、問題対処できなくても、全く構わない。その結果、車の修理対応やメンテナンスでは、平均的日本人は全く無能だ。
 私もそうだったが、平均的ドライバーはタイヤの交換もできないような始末だ。
 ところが、海外に行くと、車について多少は自分で対応できないと困ってしまう。実際、ハワイ島でレンタカーがパンクしてしまったときに、地元の方に助けてもらった体験があるし、オーストラリアのメルボルン郊外のHalls Gapからメルボルンに戻ろうと、Stawellにレンタカーで向かっていたとき、やはりパンクしてしまい、これは自力でタイヤ交換をしたことがある。ほとんど人が通らない道路で馬に乗った青年が助けはいらないかと近づいてきてくれたけれど、これは感謝して断った。オーストラリアは相互補助の精神が強い。
 日本の中古車がニュージーランドで走っている車の95%を占めると言われているように、日本では、そもそも壊れにくい車の、その新車に乗っているから、故障に無縁の車生活が送れる。万一、調子が悪くなっても、ガソリンスタンドや整備工場に、全てお任せとなる。
 一方、オーストラリアやニュージーランドでは、車をつぶすまで乗る。ニュージーランドはハミルトンで私がホームスティしていた家の女主人の車はゴーカートのような小型車だったが、まさにポンコツで一度乗ろうとしたとき、これを運転するのは無理だと観念したくらいだ。ギアチェンジがうまくいかず、リバースにも簡単に入らなかったから恐くて乗れたものではなかった。こんな具合だから平均的ドライバーは、自力更生型である。車検前も、必ず自分で電球を交換したりしている。
 アメリカ合州国は、オセアニアとは少し事情が違うかもしれない。つまり、アメリカ合州国は消費大国だから、日本と同様に、オーストラリアやニュージーランドのような全員自力更生型でないかもしれないが、合州国では、ポンコツ車から豪華な新車まで、その質的範囲は、日本よりは確実に広いだろう。1980年代初頭に初めてサンフランシスコに滞在したとき、バンパーがへこんだ車はごく普通で、中にはドアがはずれた車も走っていた。いわば、アメリカ合州国での自動車は、足代わりなのである。
 ということで、合州国ではポンコツ車も含めて中古車が少なくないから故障が多い。と同時に、日本と同様、車に関して無知であることも少なくない。
 そこで、Car Talkである。これは視聴者が自分の車で困っている問題をタペット兄弟に相談するという番組である。
 それで、このトークが面白い。トムとレイと視聴者とのかけ合い。ある種、これはお笑い番組だ。
 その昔、AFN(American Forces Network)がFEN(Far East Network)と呼ばれていた頃、SONYFENという名のFENしか聞けない薄い携帯ラジオを売り出していたことがあった。その頃、私はFENでCar Talkをよく聴いていた。FENには、Swap Shopという、交換掲示板のような番組があり、これもよく聴いていたのだが、これらは平均的アメリカ人の暮らしぶりが透けて見えて面白かったのだ。
 FENという軍事放送で聴くことには抵抗があったけれど、それしかメディアがなかった。個人的には、少し大きな短波放送ラジオを買ってVOA(Voice of America)などを聴いていた時代だ。それがいまや、ポッドキャストで聞けるのだ。まさに隔世の感がある。

*1:近年は、セルフサービスのガソリンスタンドも登場してきているが、それでも日本が過保護社会(spoon-fed-society)であることに違いはない。