反社である旧統一協会と深い関係にあった安倍晋三元首相の国葬を本当に実施するんですか

 反社である旧統一協会安倍晋三元首相とはどの程度の関係にあったのか。安倍元首相によるUPFへのビデオメッセージは、社交儀礼レベルのものだったのか。

 連日の報道を見ていると、そうとは思えない。

 選挙にはマンパワーが必要だ。選挙戦をたたかううえで足腰の弱体化した自民党は、カルトの統一協会まで選挙ボランティアをあてこんだ実質的”下部組織”として利用せざるをえなかったのではないか*1。そうした選挙の恩返しとして見返りをしっかりと考えたうえで、安倍晋三元首相は、反社の旧統一協会の広告塔としての役割を演じたのではないか。いわば、もちつもたれつの関係*2にあったのではないか。

 第一に、安倍晋三は、選挙に勝つことだけに集中し、実際、選挙に強いという結果と印象を残し、安倍一強ともいわれた*3*4。選挙に勝つためには、おそらく何でも利用した。反社*5である旧統一協会も含めて、公になれば批判されることを覚悟で「やめられない・とまらない」ということで深みにはまったのだろう。報道では、まず元秘書官・井上義行候補(当時)と旧統一協会系の団体との選挙協力関係が明らかにされた*6。ここにきて、驚くべきことに、実弟岸信夫防衛大臣がみずからの会見で旧統一協会との選挙支援の関係を認めた*7。さらに安倍晋三みずからが統一協会の票を割り振っていたという報道*8も出てきた*9

 第二に、安倍晋三は、安倍家の”プリンス”であり、岸信介*10安倍晋太郎*11安倍晋三と三代にわたって、旧統一協会と関係があった。これは識者にはよく知られた戦後史の常識である。

 第三に、旧統一協会との関係では、安倍派が最も多い*12*13*14*15。長期政権を支えるため、安倍一強のため、選挙に勝つためには、取り巻きにも活用した*16。これは反社である旧統一協会も含めてのことで、旧統一協会との関係は「やめられない・とまらない」ということだったのだろう*17

 その見返りとしてなのか、たとえば2015年の統一協会の名称変更問題。当時の下村博文文科大臣(安倍派)*18のかかわり*19が疑惑としていま問題となっている*20*21。公安*22*23にたいしても、「政治のちから」をはたらかせ、旧統一協会を取り締まることなく、監視対象からはずし、むしろ泳がせた可能性がある。

 第四に、メッセージビデオを送った頃は、旧統一協会との関係が露出しても大丈夫という安倍晋三の慢心があったとみられている*24。公に報道されるならば批判されること知っていて、「やめられない・とまらない」ということで慢心したのではないか。

 これまでの報道をみてわかることは、「美しい国」「日本を、取り戻す」などキャッチフレーズはいろいろあるけれど、そのイデオロギーはつぎはぎだらけで一貫性がないということだ。安倍晋三元首相は、反日自虐史観と攻撃する一方で、朝鮮は日本からひどい目にあって大きな被害を受けたのだから日本から貢物をもらっていいという朝鮮ナショナリズムが教義に反映しているといわれる旧統一協会と手を結んでいるのだ。北朝鮮統一教会自民党の奇妙な「三角関係」といわれてきている*25のも、とどのつまり、関心事はひとつ。権力維持。そのための選挙支配による国民統治なのだろう。そのためには、カルト団体とつき合うことも厭わなくなってしまったということだ。何か大切なものを売り渡してしまったのではないかと言わざるをえない。

 いうまでもなく、ここで実行犯を擁護する意図は全くないし、死者に鞭打つつもりもない。けれども、選挙運動期間中の安倍晋三元首相殺害事件の容疑者の動機は、反社会的なカルト的宗教集団として知られる母親が入った旧統一教会に対する恨みからの犯行と報じられている。もちろん容疑者を擁護する意図は全くない。ただ、全国霊感商法対策弁護士連絡会は、安倍晋三衆議院議員に、旧統一教会やその関連団体の集会・式典に出席したり、祝辞を述べたり、祝電を打ったりしないように、再三、注意をうながしてきたにもかかわらず、そうした親身な忠告を無視して、UPFに、顔も名前も出して家庭の大切さを強調するビデオメッセ―ジを送るという安倍晋三氏の行動は問われざるをえないだろう*26。なぜかといえば、そのメッセージが儀礼的なものとはいえず、「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」「UPFの平和ビジョンにおいて、家庭の価値を強調する点を高く評価いたします」「偏った価値観を社会革命運動として展開する動きに警戒しましょう」と、反社団体であるUPFに敬意を表し、その思想を高く評価し、ジェンダー論に警戒感を示し同調しているからだ。

 「家庭を崩壊させる統一協会の活動について行政も政権を担う党の政治家もこの30年以上何も手を打って」*27こなかった。それは、「政治的なちから」(有田芳生氏)だという。その「政治的なちから」に安倍晋三元首相自身がかかわっていたであろうことは想像に難くない。

 となれば、逆に、きちんと反社の団体の取り締まりに対応し、弁護士の先生方の忠告に耳を傾け、旧統一協会との関係を断っていれば、殺害事件という惨劇は避けられた可能性があると言えないだろうか。

 安倍元首相殺害事件が、もしこういう話であるとすれば、自分が子どもの頃であれば、周囲の大人たちは、身から出たサビとか、自業自得、因果応報というコトバで表現したことだろう。植木等の「スーダラ節」でいうなら、「わかっちゃいるけどやめられない」というところだろう。

 閣議決定される前から安倍元首相の国葬について話題になったときから反対であると個人的見解をつぶやいた。反対理由は、「国葬を規定した国葬令が戦後失効したこと。安倍元首相の評価が分かれており功罪の評価自体が定まっていないこと。今現在、カルトといわれる旧統一協会(世界平和統一家庭連合)との関係が、今まさに問われている渦中だから」*28と書いた。

 第三の理由である旧統一協会(世界平和統一家庭連合)との関係については、自民党の代議士の先生方が知らないところで秘書が祝電を打ったというような一般的な関係でないことは明らかだ。候補者からすれば、反社団体であるが、無償で秘書や選挙の運動員を動員してくれる有力団体だ。その見返りに、反社団体である旧統一協会が擁護されるというズブズブの蜜月関係であり、力のない自民党候補者からすれば独饅頭ではあるけれど甘い蜜に他ならなかった。旧統一協会の票を差配していたのが安倍晋三ということになる*29

 岸田首相は国葬理由に、「(1)8年8カ月、憲政史上最長期間、総理大臣の重責を担った、(2)在任期間中、内外に赫赫(かくかく)たる業績を残した、(3)国内外から極めて高い評価・幅広く弔意が寄せられている、と挙げている」。

 (1)についてだけ限っていっても、長きにわたって反社である旧統一協会を活用したからこそ選挙に勝ち続けたといわれても仕方あるまい。その見返りに反社のカルト団体を泳がせたという疑惑があがっているのだ。それほどまで旧統一協会と関係の深い自民党のトップであった安倍晋三元首相。

 これで、コロナ禍に、国葬ですか*30*31

*1:もちろん旧統一協会自民党の下部組織ではない。それは言うまでもないことだが、選挙とのかかわりについてこれまでの報道によれば、下部組織的なものとして自民党は期待してきたと言われても否定のしようがないほどの関係だ

*2:安倍元首相の父は「“統一教会”の選挙ボランティアを割り振っていた」……自民関係者が回顧 「持ちつ持たれつ」の関係ナゼ?(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

*3:「安倍派揺らぐと日本揺らぐ」 自民総務会長、結束が重要と強調 (msn.com)

*4:旧統一教会トップと国会議員らがアメリカで面会…目的は?開示された名称変更の理由示した文書は黒塗り…政治家の関与は不明のまま | TBS NEWS DIG (1ページ)

*5:旧統一教会とズブズブ…かつて安倍政権が「反社会的勢力」の定義を“撤回”した本当の狙い (msn.com)

*6:【“統一教会”と政治家の関係】教団の「賛同会員」に自民党候補 - Bing video

*7:【統一教会】岸信夫防衛大臣が会見で明かした 旧統一教会ベッタリよりも“危ういコト”|日刊ゲンダイDIGITAL (nikkan-gendai.com)

*8:「教団票の割り振りあった」旧統一教会めぐり自民議員が証言 票の差配に“派閥の長”が関わっていた|TBS NEWS DIG - YouTube

*9:統一教会の政界汚染、支援対象は「安倍さんの一存だった」 恩恵を受けた子飼い議員の名(デイリー新潮) - goo ニュース

*10:安倍元首相銃撃犯の怨恨の根、岸信介の統一教会接近とは──祖父の冷戦戦略の副作用に殺されたのか(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース)))((安倍元首相銃撃犯の怨恨の根、岸信介の統一教会接近とは──祖父の冷戦戦略の副作用に殺されたのか(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

*11:「安倍氏は三代にわたって付き合いがあった」マスコミが書かない山上容疑者・統一教会・自民党をつなぐ点と線 安倍氏と統一教会の間には「裏取引疑惑」も (5ページ目) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

*12:【速報】旧統一教会と「関係アリ」国会議員リスト入手! 自民党議員は98人、安倍政権での重要ポスト経験者が34人=鈴木エイト氏調べ | TweeterBreakingNews-ツイッ速! (tweetsoku.com)

*13:細田氏は集会出席の際「安倍総理に早速ご報告したい」と発言した。“21人のガッツポーズ”細田衆院議長の姿も・・・旧統一教会と自民党が国会内で集会、出席した元閣僚「選挙にプラスになる」 | TBS NEWS DIG (1ページ)

*14:岸信夫氏、稲田朋美氏ら 統一教会との関係を堂々認める自民議員が続出…“開き直り”と疑問噴出 (msn.com)

*15:「統一教会と安倍派・清和研」の大問題、橋本派・経世会の没落を想起する理由 (msn.com)

*16:平井前デジタル相 統一教会の関連イベントで実行委員長を務めていた!問い合わせると「名誉職的な意味合いで受けた」(2022年7月27日)|ウーマンエキサイト(1/4) (excite.co.jp)

*17:旧統一教会のほうが票田として魅力的…浄土宗信徒・安倍晋三元首相の"起こるべくして起きた"事件の構造 政治家の節操のなさと、宗教に対する無知が、悲劇を生んだ | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

*18:《“支援者名簿”入手》統一教会“名称変更”時の文科大臣・下村博文氏を関連団体幹部5名が支援 (msn.com)

*19:旧統一教会が下村文科大臣時代に“名称変更”「大臣の指示あったとしか考えられない」前川元文科次官が証言 下村氏は関与否定|TBS NEWS DIG - YouTube

*20:旧統一教会、19年越しで名称変更のなぞ 下村文科相在任中に突如実現:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

*21:旧統一教会の名称変更めぐる「黒塗り開示」に批判 文化庁に理由を聞いた (msn.com)

*22:旧統一教会関連団体の催しで実行委員長 国家公安委員長が認める:朝日新聞デジタル (asahi.com)

*23:国家公安委員長が統一教会関連団体との関係認め有田芳生氏「大問題」宮根誠司も「あ然」 (msn.com)

*24:TBS「報道特集」で鈴木エイト氏は次のように語った。「(これまでは)一方的に安倍さんを支持しているっていうだけにも捉えられちゃう。そういうのが全部覆ったのが、2021年9月のUPFのビデオメッセージだと思う。安倍晋三さんはその関係をもう隠さなくなった。これが公表されても自分の政治生命、選挙、自民党には何の影響もないということを、あそこで判断したんだということに驚きました」「安倍派が飛び抜けて多かった」旧統一教会と政治家“持ちつ持たれつの関係”その実態とは【報道特集】(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース

*25:北朝鮮・統一教会・自民党の奇妙な「三角関係」…金正恩氏が教祖に弔電(高英起) - 個人 - Yahoo!ニュース

*26:公開抗議文 衆議院議員 安倍晋三 先生へ 統一教会 家庭連合 (stopreikan.com)

*27:全国霊感商法対策弁護士連絡会

*28:茂木幹事長は「自民党として組織的に関係がない」という唖然とさせられる公式発言をしたが、少なくとも自民党が(とくに安倍派が多い)量的にかかわっていることは明らかだ。自民・茂木敏充幹事長 旧統一教会とは「自民党として組織的に関係がないことをすでに確認」 - 社会 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)

*29:自民党関係者によれば、「“統一教会”は反共産主義ということもあり、その流れで安倍元首相の父親の安倍晋太郎元幹事長は、選挙で応援してほしい議員のもとに、教団のボランティアを割り振ったりしていた」という。安倍元首相の父は「“統一教会”の選挙ボランティアを割り振っていた」……自民関係者が回顧 「持ちつ持たれつ」の関係ナゼ? (msn.com)

*30:安倍元首相国葬 反対72%「安易な神格化懸念」「国費負担に違和感」 賛成23%「在職最長、功績ある」 実施の是非巡りアンケート | 鹿児島のニュース | 南日本新聞 | 373news.com

*31:安倍氏「国葬」賛成42% 反対49% 世代で差、40代境に賛否が逆転 熊日S編アンケート(熊本日日新聞) - Yahoo!ニュース

共産党に関する「ミヤネ屋」での吉川美代子氏の発言は事実にもとづかない発言だった

 2022年7月25日(月)午後の「情報ライブ ミヤネ屋」の放送で、共産党の旧統一協会にかんする方針を紹介しつつ、女性アナウンサーが、「先週金曜日の放送で一部共産党が旧統一教会の問題についてこれまで取り上げていないととらえられるような内容がありましたが、実際には共産党は1970年代以降旧統一教会の被害の実態について国会で取り上げて来た事実があります」とメモを読み上げた。

 その際とくだん、「訂正」とか「お詫び」というコトバが読み上げられることはなかった。また司会の宮根氏からも、「訂正」とか「お詫び」のコトバはなく、事実にもとづかない吉川氏のコメントに関するコメントもなく、番組の流れで続けて共産党の方針を紹介した。

 吉川美代子氏は番組に登場してはいなかった。したがって当然のことながら、吉川美代子氏から「訂正」も「お詫び」もなかった。

 

 繰り返しになるが、私が驚いた吉川氏の(共産党に関する)発言は次である。

 それまで何も言わないで、このときに、世間の注目が集まっているこの時に、急に言い出すっていうのは、ちょっと一部パフォーマンスっぽいなっていう気がしてしまうんですね。

 (うん?、まさかこれは共産党のことをさして吉川氏は発言したの?)

 わたしは耳を疑ったが、「それまで何も言わないで」とか「パフォーマンス」というのは、ほんとうに共産党のことをさして言ったのか。これは昔から共産党統一協会と闘ってきたのではなかったかというわたしの認識とは全く違う。

 さらにデイリースポーツによれば以下となる。記事の一部から引用する。

 (当時は)何も言わないで、世間の注目が集まってるこの時に急に言い出すっていうのが、ちょっと一部、パフォーマンスっぽいなっていう気がしてしまうんですね」とバッサリ。

 なにが「バッサリ」なのか、ちっともわからない記事だった。

 ほんとうに共産党は「それまで何も言わな」かったのか。「(当時は)何も言わないで、世間の注目が集まってるこの時に急に言い出」しているのか。「ちょっと一部、パフォーマンスっぽい」のか。

 ここでは煩雑になるので紹介はしないけれど、エビデンスはたくさん出てきた。

 やはり吉川氏の発言がまるで事実と違うのではないかと理解した。さらに共産党自身も「ミヤネ屋」にたいして抗議すると言っていたので注視していたのだが、やはりあっさりと「訂正「した。しかしながら、事実が全く違ったうえで、吉川氏が「パフォーマンスっぽい」と失礼なことを放言したわりには、その訂正の仕方はどうなのか。

 事実と違った場合の、訂正の仕方として、これで終わりなのか、よくわからないが、もしこれで終わりだとしたら、訂正の仕方として誠意ある姿勢とは到底言えないだろう。

 もしかして、信じたくはないが、吉川美代子氏が、コメンテーターとしての発言の機会を、「政争の具」として使って、「パフォーマンス」をおこなったということなのか。

 もしこれで訂正が終わりだとしたら、吉川美代子氏が、コメンテーターとしての発言の機会を「政争の具」として使い、「パフォーマンス」をおこなったが、逆に、世論と事実に「バッサリ」やられてしまったという不適切発言だったということになるだろう。

 いずれにせよ、共産党に関する「ミヤネ屋」での吉川美代子氏の発言は事実にもとづかない発言だったということは間違いない。

 そうした、いい加減なコメンテーターを使う側の問題も、もちろんあり、いい加減なコメンテーターを使う側の問題は当然のことながら大きいと言わざるをえない。

 「情報ライブ ミヤネ屋」が、尺(時間)として時間を割いて、旧統一協会問題を報道しているだけに残念だ。

吉川美代子氏が言うように、共産党は「それまで何も言わないで、世間の注目が集まってるこの時に、急に言い出」しているのか

 自分が小学生の頃、子ども向けマンガ雑誌少年マガジンだったと思うが、KKK*1について知った。戦前ならともかく戦後、こんなカルト*2的団体が存在するのは他国の話であって、まさか自分の生まれた国に存在するなんて想像だにできなかった。

 統一教会の学生サークルといわれる原理研は自分が学生時代、自分の通っていた大学の学内に存在し活動していた。

 統一教会については、しばらく聞かないと思っていたら、安倍元首相殺害事件をきっかけに、「政治のちから」(有田芳生氏)によって取り締まりがおこなわれず、それどころか、旧統一協会の放置(泳がせ政策)と、旧統一協会を選挙に利用する自民党と旧統一協会との蜜月関係*3が進行・発展していたことが発覚した。

 マスコミもふくめて真のジャーナリズムは、真相究明のために、この問題を掘り下げることが期待されている。マスコミも、この問題にどれだけ踏み込むのか、その報道姿勢が、はからずも、本物と偽物とを仕分ける「踏み絵」の役割を果たしてしまっている。

 報道は、量的・質的に、その報道内容が検証されなければならない。ここにきて、「報道ステーション」(テレビ朝日)が、連日ほぼ旧統一協会問題を報じていないと聞いた。もしこれが事実で、量的にほぼ報道していないとなれば、「本物」でないと言われてもしかたないだろう*4

 ここで話題にしたいのは「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ)である。

 日頃は見ていないが、テレビ全体として旧統一協会関係についての報道量が少ない中、連日「情報ライブ ミヤネ屋」が時間を割いているというので、今日*5見てみた。

 紀藤弁護士を起用し、尺も(時間も)とって奮闘していると感じた。宮根誠司氏の差配も悪くない。

 女性アナウンサーがボードを使って各野党の今後の対応方針を読み上げ*6説明したのち、宮根氏が、こうした野党の立憲の会合に出席したという紀藤弁護士に尋ねた。

 紀藤正樹弁護士は、「この問題は、立憲民主党だけでやる問題ではない」「一国の元首相、しかも8年8カ月という憲政史上最長の元首相が殺害されたという国際的にも大問題な事件…。この問題を一党で検討するというのは間違っていまして、超党派で、超党派で、この問題をやるべきだということを強く言いました」と、立憲民主党共産党・維新・自民党も含めて超党派で取り組んでもらいたいと強調していた。あわせて紀藤氏は、弁護士としては、被害者がいたから、この事件に取り組んでいる。野党には、政局とか政争の具*7にしてほしくないとも強調した。

 ここで、宮根氏が、「吉川さん、山上容疑者がおこなった凶行。これはけっして許されることではないのですが、われわれからすると、憲政史上、最も長く総理をつとめられた方が凶弾に倒れた。その背景にひょっとすると、統一教会なる宗教団体が背景にあるかもしれない。そして被害者の方も多数出ているという報告がある中で、これはやっぱり、紀藤先生も使いましたけど、政争の具じゃないですよね、超党派で、超党派でやらないと」と、吉川美代子氏に発言を求めた。

 すると、吉川美代子*8氏は、「やっぱり、共産党などの、コメント見てますとね。15年の、その統一教会の名前変えるときの政治的圧力だとか、霊感商法というんですけど、これはもう90年代からもうずっと紀藤先生をはじめとした弁護士の方が被害者救済でずっと闘って活動してらして、それまで何も言わないで、このときに、世間の注目が集まっているこの時に、急に言い出すっていうのは、ちょっと一部パフォーマンスっぽいなっていう気がしてしまうんですね。だから本当に必要なのは、実際に被害者がいて、食べるものもなくなっちゃうくらい、全部お金を出しちゃった人もいるっていう、そういうことをきちっと取り上げてほしいなと思いますね」と発言した。

 この発言には、心底驚いた。イスから転げ落ちそうになるくらい私が驚いた吉川氏の発言は以下である。

 それまで何も言わないで、このときに、世間の注目が集まっているこの時に、急に言い出すっていうのは、ちょっと一部パフォーマンスっぽいなっていう気がしてしまうんですね。

 (うん?、まさかこれは共産党のことをさして吉川氏は発言したの?)

 わたしは耳を疑ったが、「それまで何も言わないで」とか「パフォーマンス」というのは、ほんとうに共産党のことをさして言っているのだろうか。

 吉川氏は、「共産党などの」とか「一部パフォーマンスっぽい」とか発言されているので、少しあいまいにも聞こえるが、しかし、ふつう「共産党」のことをさしていると理解するのが通常であろう。

 何故驚いたかといえば、もし本当にこれが共産党のことを言っているだとすれば、「それまで何も言わないで」とか、「急に言い出す」とか、「一部パフォーマンスっぽい」というのは、わたしの認識(世間の認識でもあると思う)とは全く違っているからだ。言い換えれば、コメンテーターの発言としては全く政治的教養の感じられない発言に聞こえてしまったからだ。

 旧統一協会は政治的には勝共連合とつながっている。勝共連合共産主義運動に勝つことを目的にしている団体だから、旧統一協会勝共連合共産党を目の敵にしていることは歴史の常識だろう。であれば、共産党が「それまで何も言わないで、このときに、世間の注目が集まっているこの時に、急に言い出す」(吉川美代子氏)ということはありえない。これを私は証拠*9 *10を示して実証的に「ありえない」と言っているではない。吉川美代子氏とは共有できてないようだが、日本の戦後史を少しでも学んだことがある人ならよく知られた政治的教養と思うからだ。

 続いて宮根氏は、「(反社会的な)そういう団体だとするならば、そうした団体と政治家との距離感」が大事だと、コメンテーターの本村健太郎弁護士にコメントを求めた。

 本村氏は、統一教会問題は、20年前は絶対ダメな問題(NGの問題)として社会問題として知られていたが、いつの間にか、政治家が取り込まれていった。政治家の責任も重いという有意義な発言をしていた *11

 これを正しく受けて、宮根氏も、「われわれメディアも取り上げなかったっていう責任は痛感しないといけないと思うんですが」と的確な発言をしていた。

 以上の文脈から振り返ってみると、吉川美代子氏のコメントは、番組の文脈から浮いていないだろうか。文脈に全く合っていないということがわかる。

 わたしが感じたことは、第一に、吉川美代子氏の発言は、事実として違っている可能性がある。20年前に旧統一協会問題が、社会的によく知られていたのは、統一教会の圧力にもかかわらず、闘う弁護士の先生方、闘うジャーナリズム、圧力に屈しなかったテレビもふくめたマスコミの報道によるものだろう。そこには共産党による報道も当然含まれるはずだというのが私の推測だ。

 第二に思うことは、吉川美代子氏のコメントは、番組の文脈を無視した発言ではないかということ。かなり浮いた発言となっていて、はじめから「パフォーマンス」云々という表現を使いたいという意図(悪意と言ってもよい)があるかのように聞こえたことだ。長年アナウンサーをやってきた方とは思えない発言だった。

 吉川氏の発言は事実として違っている可能性がある。もし発言が事実でないとすれば、テレビは、せめて事実にもとづいた発言のできるコメンテーターを使っていただきたいものだ。

 と、推測的な結論を書いてこの一文をしめくくろうとしたら、「デイリースポーツ」の次の記事をたまたま見つけた。

吉川美代子氏 共産党の旧統一教会追及は「パフォーマンス」 (msn.com)

 この記事によれば、吉川美代子氏の発言は、そうとるのが当然と私自身も思ったが、吉川氏の名誉のために万一と考えたのだが、「デイリースポーツ」もやはり「共産党」をさしていると考えているようだ。それにしても、共産党は、旧統一協会の問題をこれから追及するのであって、それを「パフォーマンスっぽい」とコメントする論理がわからないとあらためて思った。あの場面で吉川氏がコメントすべきは、「(どの政党も政争の具とすることなく)超党派でやってもらいたいですね」「(被害者に寄り添い)パフォーマンスに終わらせることなく、反社会的な旧統一協会と政治家の癒着の問題を徹底して究明してもらいたいですね」というような内容のコメントであろう。共産党についてだけ言うのはやはり文脈が合わないと思う。

 けれども、デイリースポーツは言う。

 吉川氏は紀藤氏らが1990年代から旧統一教会と戦ってきたとし「(当時は)何も言わないで、世間の注目が集まってるこの時に急に言い出すっていうのが、ちょっと一部、パフォーマンスっぽいなっていう気がしてしまうんですね」とバッサリ。(デイリースポーツ)

 なにが「バッサリ」なのか、ちっともわからないが、先にも書いたけれども、個人的に私自身が赤旗などの実証的なエビデンスをすぐに出せるわけではないが、ほんとうに共産党は「(当時は)何も言わな」かったのだろうか。「それまで何も言わな」かったのだろうか。「(当時は)何も言わないで、世間の注目が集まってるこの時に急に言い出」しているのだろうか。「ちょっと一部、パフォーマンスっぽい」のだろうか。

 このままでは勝手な思い込みの言いっぱなしになってしまうので、少しエビデンスも調べてみようと思う。

*1:KKK団については、たとえば、クー・クラックス・クラン - Wikipedia

*2:江川紹子氏によれば、「カルト」とは、「「ネガティブな意味を含むので簡単に使うべき言葉ではありません。憲法も『思想・良心の自由』『信教の自由』を保障しています。その上でカルトを定義するなら『自分たちの信念を絶対視し、それに基づいて人権侵害そのほか、反社会的な行為をする団体で、巧みに他者の心を支配し、しばしばほかの考え方を敵視する』」と喝破されている。

*3:統一協会と関連する政党は自民党のみならず立憲民主党・維新・国民民主党、はたまた公明党とも、その関係が取りざたされている。今後の究明が待たれるが、自民党との関係が最も多いと言われている。

*4:報道ステーション」は、7月12日の放送で、旧統一教会が放送前日に開いた会見を特集。世界平和統一家庭連合の田中富広会長が、安倍元首相と祖父・岸信介元首相の関与を否定し、『岸元首相が何か特別な計らいをしたとか、あるいは特別な影響を与えているかということはまずないと思います』と発言した部分を放送した。この特集後、大越キャスターは「宗教団体への積年の恨みということを供述していますが、なぜその恨みの矛先が一足飛びに安倍元総理に向かったのか。その理由として、祖父の岸元総理大臣、安倍元総理大臣と宗教団体との関係性を挙げていますけれども、これは全く、到底理解できない中身となっています。徹底した動機の解明を待ちたいと思います」と締めくくったという。統一教会の教祖・文鮮明が創設した反共主義政治団体である国際勝共連合の名誉会長・笹川良一氏が初代会長を務めた公益財団法人が日本財団。大越キャスターはこの日本財団のアドバイザリー会議委員を務めているようだ。そこから大越キャスターに疑念が向けられネットで話題になっている。こうした疑念にたいして「報道ステーション」側から今のところ説明はないようだ。

*5:2022年7月22日午後1時55分~3時50分。

*6:画面には、「共産 小池晃書記局長「今後追及していく主な内容」・高額献金・違法勧誘の実態 ・“統一教会“と議員の癒着の実態 ・2015年の教団名称変更に関する政治的圧力の有無」「立憲  西村智奈美幹事長  “統一教会”等による被害等を調査・検証し対策を立案する」「 維新  日本維新の会  松井代表  我が党の国会議員に(教団との)関係性についてはしっかり聞き取り調査をしたい」という各野党の方針の概要が表示されていた。

*7:「政争の具」とは、「政争に勝つための目的で利用する事柄や手段」のこと。たとえば「教育問題が政争の具にされる」というように使われる。

*8:吉川美代子氏の画面の肩書は以下のとおり。「TBS入社後37年間 アナウンサーとして活躍 京都産業大学 現代社会学部の客員教授

*9:統一協会 - キーワード(赤旗) (jcp.or.jp)

*10:たとえば、2000年代の話ではあるけれど少し調べるだけでも、次のようなものが出てくる。2002年 統一協会の被害続出/ボランティアと偽り集団結婚/公立高校で勧誘/霊感商法弁連 政府に対策申入れ (jcp.or.jp) / 2006年 統一協会の集団結婚・大会/安倍長官らが祝電/韓国「世界日報」報道 (jcp.or.jp)/2021年 旧統一協会系集会にメッセージ/安倍前首相「総裁に敬意」/宣伝利用で霊感商法被害拡大の恐れ (jcp.or.jp) 

*11:「政治家のかなりの数の方が統一協会と関係があったということがいま発覚して慌てていらっしゃると。20年前だったらすごくあれだけ統一教会の社会問題がワーッととひどかった。当時だったら絶対統一協会なんて絶対ダメだ、NGだという感覚があったのが、いつの間にか忘れていったのか、薄れていったのか。だんだんと政治家のほうに統一協会がなんとなく取り込まれてきた(引用者注:統一協会のほうに政治家が取り込まれていったという趣旨での発言)という経過があってということだと思うんですが。その過程の中でそれを許してしまった政治家の方々の責任は非常に重いですから、あらためてもう一回きちんとあぶりだしてもらいたいと思います」<本村健太郎弁護士>

反社会的な旧統一教会と関係ある政権与党なんて大丈夫ですか ―2022年参院選から1週間、素朴に疑問に思う(2)-

 今回の参議院選挙結果は、与党の「圧勝」と言われる。

 たしかに議席数からすれば、与党圧勝といえるのかもしれない。けれども、選挙報道を見ていつも思うのは、獲得票数と議席数との関係である。はたして議席数は獲得票数を正しく反映しているのかという問題意識である。もし民意を適切に反映しない選挙制度であるならば、獲得票数がそれほど多くなくても、議席数として圧倒的多数を占めるということがありうるからだ*1*2

 まず選挙区選挙の得票率をみてみよう。

 選挙区選挙では、自民党は39.8%(前回)から38.7%(今回)に得票率を減少させている。公明党も7.8%(前回)から6.8%(今回)へと減少させている。当然のことながら、自民党公明党を合わせて、47.5%(前回)から45.5%(今回)と得票率を減らす結果となっている。

 議席数では「圧勝」といいながら、得票率は前回に比べて今回減らしているのだ。

 日本維新の会と国民民主党を「野党」にいれてよいのかという議論はあるだろうが*3、自公以外の野党ほかを合わせると、選挙区選挙のその得票率は、52.5%(前回)から54.4%(今回)と増加している*4。つまり、野党共闘を成功させることができるならば、野党側にも勝利の可能性はあるということだ。ところが、繰り返しになるけれど、議席数としては、今回自公政権の圧勝となっている。なんと選挙区選挙での自公政権議席数は52議席。野党は、その半分以下の23議席に過ぎない。得票率で、自公のほうが自公以外の政党より9%弱低いにもかかわらず、議席数は52議席と、自公以外の政党の23議席と比べて、2倍以上の議席を獲得しているのだ*5

 繰り返すが、一人区では、現状では、野党共闘に成功しなければ勝てない。衆議院選挙での立憲・共産党・れいわ・社民との野党共闘。その大きな成果に恐怖をいだいた権力側が、衆院選挙後、連合など、使えるものは全て使って野党共闘のじゃまをしたということになるのだろう。

 野党共闘への横やりも影響しての政治不信、諦観、そして政治にたいする無関心から、既存政党は軒並み得票率を減らした。こうした中で、若干増やしたのは、日本維新の会とれいわ新選組、そして参政党など、あらたな政党だ。しかし、日本維新の会は自公補完勢力のポピュリスト政党といわれているし、参政党は、「綱領」として、「先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる」「日本国の自立と繁栄を追求し、人類の発展に寄与する」「日本の精神と伝統を活かし、調和社会のモデルをつくる」という「綱領」をもつ政党であることに注意が必要だ。

 比例選挙の得票率においても、自民党公明党を合わせて、こちらも48.4%(前回)から46.1%(今回)と得票率を減らしている*6

 選挙区選挙と同じく、日本維新の会と国民民主党を「野党」にいれてよいのかという議論はあるだろうが、自公以外の野党ほか合わせると、51.6%(前回)から54.0%(今回)と増加している*7。当然のことながら、比例選挙区は選挙区選挙とちがって、その議席数は、自公以外の野党ほかで、26議席。自公は24議席と拮抗している。

 つまり、「拮抗している」、衆院選に引き続いて野党共闘を成功させることができたら野党側にも勝利の可能性があったというのが、より正確な選挙結果の見方ではなかろうか。

 以上みてきたように、今回の選挙結果で議席数において自公圧勝といわれるが、国民の投票状況(各政党の得票率)をみるならば、単純に自公圧勝といえるのか、疑問が残る。これが第一に指摘したい点である。

 第二に、今回、安倍元首相殺害*8とともに、私たちを震撼とさせたものに、白日の下にさらされた”宗教”と政治との蜜月関係の問題がある。しかも、その多くが自民党議員、つまり政権与党の議員たちが反社会的団体になんらかのかたちで関与していたことである。

 旧統一教会による政治への介入・支配。そのマンパワーと集金・集票能力に引き寄せられる政権与党、またその補完勢力の政治家たち。そうした蜜月関係を明らかにしようとしない御用マスコミ人たち。そして、ジャーナリズムの劣化。安倍元首相殺害事件は、これらまるごとが今日の日本社会なのだということをはからずも映し出してしまった。

 旧統一協会と蜜月関係にある政治家たちがどちらを向いて政治をしようとするのかといえば、それは明らかだ。それは国民ではなく、反社会的な集団に向けて政治*9をおこなおうとすることになる。なぜ国際基準の選択制夫婦別姓同性婚が忌避されるのか。旧統一教会の教えとなればうなずける話だ。自民党の政治家たちの政策が、選択制夫婦別姓に反対、同性婚反対、つまり反国民的となるのもうなづける。

 選挙運動期間中の安倍晋三元首相殺害事件の容疑者の動機は、反社会的なカルト的宗教集団として知られる母親が入った旧統一教会に対する恨みからの犯行と報じられている。岸信介安倍晋太郎安倍晋三と、安倍家は、三代にわたって旧統一教会と関係をもってきた。全国霊感商法対策弁護士連絡会は、安倍晋三衆議院議員に、旧統一教会やその関連団体の集会・式典に出席したり、祝辞を述べたり、祝電を打ったりしないように、再三、注意をうながしてきたが、そうした親身な忠告を無視して、UPFに、顔も名前も出し家庭の大切さを強調するビデオメッセ―ジを送ってしまった。

 「家庭を崩壊させる統一協会の活動について行政も政権を担う党の政治家もこの30年以上何も手を打って」*10こなかった。それは、「政治的なちから」(有田芳生氏)だという。

 安倍晋三が総裁であった自民党と旧統一協会との関係は、自民党の代議士の先生方が知らないところで、秘書が祝電を打ったというような一般的な関係ではない。

 安倍官房副長官時代から第一次安倍政権時まで秘書官だった自民党井上義行参議院議員候補者は、元首相殺害事件2日前に旧統一教会の集会に参加していたと報じられているが、旧統一教会系の友好団体の支援*11を受けて当選したと言われている。井上義行議員は、教会関係者から「井上先生は、もう食口(信者の意)になりました」と旧統一教会関係者から紹介される音声が残っている*12が、本人は、後日赤旗の質問に対し「賛同会員」と回答した。信者であっても賛同会員であっても関係していることに違いはない*13

 なぜ安倍晋三自民党議員は旧統一協会に近づくのか。

 コアな意味で政治と歴史を振り返るならば、その鍵は「反共」*14という利害で一致するという分析になるのだろう。

 自由民主党の党名は、「自由」と「民主主義」だが、その歴史的使命と賞味期限はとうに切れてしまって、いまや「自由」と「民主主義」の名に値しない反動勢力となってしまったようにみえる。

 安倍晋三元首相は、自由と民主主義の価値観を共有する国々云々とよく言っていたけれど、そこから透けて見えるものは、反共という用語に置き換えるとわかりやすい。安倍元首相の自由と民主主義の意味するところは、つまるところ反共なのだ*15。安倍政権・自民党は、「自由」と「民主主義」の名のもとで、「自由」と「民主主義」を破壊してきた。旧統一協会(「世界平和統一家庭連合」)がその名称とは裏腹に、平和を破壊し家庭崩壊させる組織であることとこれは連動する。つまり、いずれもインチキなのだ。

 こうした勢力は平気でウソをつく。原発汚染水についての安倍晋三元首相の「アンダーコントロール」発言。モリカケ問題でウソをつき国民から吸い上げた多額の税金をつかうことを合理化する。安倍元首相が誠実な日本語の使い手であるはずもない。

 桜を見る会」の前夜祭に関しても「事務所は関与していない」「明細書はない」「差額は補てんしていない」と国会で118回ウソをついた安倍元首相。最後の国会答弁までもがウソだった*16。こうしたウソをつくことで知られる安倍晋三元首相が「ほれ込」んだ井上秘書官。類は友を呼び、互いを利用するということなのだろう。

 とくに選挙の敗北から選挙に勝つことにトコトンこだわった*17のが安倍政権であり、使えるものは何でも使い、いかにウソをついて国民を支配するか(だますか)に熱心だったといえるだろう。公文書改ざん。公文書廃棄。矛盾そのものを忘れさせること。国民の思考停止と忘却を望んでいたとしか思えないのだ。

 私たちは「眼くらましの言葉」(大江健三郎)にだまされず、より正確なコトバで現実をよく見て、私たちの意識を変えて、政治をこそ変えなければならない課題に向き合わなくてはいけない。

 自公政権の「圧勝」というが、安倍晋三元首相の殺害事件が、権力と闘うジャーナリズムによって、いち早く、より正確に報道されていれば、つまり、国民の知る権利がもっと花開いている言論環境に国民がおかれていれば、同じような選挙結果となったと言えるだろうか。

 いま、旧統一協会問題から、マインドコントロールから抜け出して被害者を救済することが課題となっている。インチキ”宗教”団体が政治を支配し、その影響力を発揮していることが明らかにされつつある中で、わたしたちの投票行動においてもマインドコントロールがはたらいていなかったかと危惧する。

 こうした支配から抜け出すにはどうしたらよいのか。思考停止から逃れるにはどうしたらよいのか。

 第一に、誰が信頼できるのか、誰が信頼できないのか、明確にすることである。

 いま旧統一協会を「踏み絵」にして日々あぶりだされているテレビ・マスコミ言論人に正しい評価を下す必要がある*18。権力側による統制・支配がここまで進んでくると*19、テレビや一般紙だけ見ていても本質はわからない。地味ではあるが、ドキュメンタリー映画YouTubeSNSなど、社会的教育力も使って、国民の政治的教養・リタラシーを上げていく学び*20が必要だ。

 第二に、そのためには、良識ある専門家から学ぶ必要がある。とくに地道な努力をしてきた弁護士の先生方、ジャーナリストから学ぶ必要がある。国民の知る権利を正しく発揮していく必要がある。

 第三に、そうして”マインドコントロール”からめざめ、政治的諦観・政治的無関心・政治的思考停止から抜け出し、自公政権とその補完勢力に政治的審判をくだすことである。そうして「分断」社会を乗り越え、すべての個人の基本的人権が擁護される、国民主権の花開く、安全・安心な社会をつくっていかなければならない。

 

 2022年参院選から1週間。素朴な疑問として思う。

 反社会的な旧統一協会と蜜月関係にある政権与党って、大丈夫なんですか。

*1:自党に有利になるように選挙区の区割りをすることをゲリマンダーという。このゲリマンダーを念頭におくなら、選挙制度議席数に関係することは強調するまでもないことだ。

*2:自公の圧勝は本当かという問題意識による記事は他でもみられる。たとえば、“自民の圧勝”は本当か? 有利に作用した野党の多党化 豊田真由子が2022年参院選をおさらい (msn.com)

*3:私見だが、現在の政治状況で、曲がりなりにも野党と呼べる政党は、共産党・れいわ・社民党・立憲となるだろう。

*4:選挙区選挙の各野党の得票率では、立憲、15.8%(前回)から15.3%(今回)。維新、7.3%(前回)から10.4%(今回)。共産、7.4%(前回)から6.8%(今回)。国民、6.5%(前回)から3.8%(今回)。れいわ、0.4%(前回)から1.9%(今回)。社民、0.4%(前回)から0.3%(今回)。N党、3.0%(前回)から2.1%(今回)。

*5:つまり選挙区選挙では、野党共闘に成功しなければ、野党に投じた票は死票になってしまうということだ。

*6:比例の内訳は、自民党が35.4%(前回)から34.4%(今回)に減少させている。公明党が13.1%(前回)から11.7%(今回)へと減少させている。

*7:立憲、15.8%(前回)から12.8%(今回)。維新、9.8%(前回)から14.4%(今回)。共産、9.0%(前回)から6.8%(今回)。国民、7.0%(前回)から6.0%(今回)。れいわ、4.6%(前回)から4.4%(今回)。社民、2.1%(前回)から2.4%(今回)。N党、2.0%(前回)から2.4%(今回)。

*8:弁護士の郷原信郎氏は、安倍氏的な政治手法にはリスクがあったという意味を込めて「アベノリスク」という用語を使っている。今回の殺害事件は、安倍政治によって社会の分断がすすみ、二極化させた。旧統一協会自民党との関係を深めて自民党の選挙には有利になったかもしれないが、一方で、悲惨な被害者の怨念を高めることにもなった。それが殺害事件の背景にあるとすれば、安倍氏自身がそのリスクをどこまで認識していたかはわからないが、リスクを高めそのリスクが顕在化したという見方もできるのではないかと問題提起をしている。【安倍元首相国葬をめぐる問題と、殺害事件の背景としての「アベノリスク」】郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#156 - Bing video SNSでは「身から出たサビ」「因果応報」という表現も散見できる中、郷原氏の「アベノリスク」という表現は、より的確と私も考える。

*9:あるいは、お友達政治といわれるように、いずれにしても国民のための政治がおこなわれることはなく、政治が私物化されることになる。

*10:全国霊感商法対策弁護士連絡会

*11:友好団体は支援を否定しているが、井上議員は支援を認めている。

*12:横田一氏の取材によるもの。

*13:自民党候補者に対する旧統一協会による票の割り振りについて、自民党青山繁晴参議院議員の発言も出てきている。

*14:統一協会勝共連合などの歴史については、有田芳生氏らが詳しい。

*15:安倍元首相の国会答弁時のヤジとして、文脈と関係のないところで、「日教組」「共産党」というヤジがあった。

*16:【安倍元首相国葬をめぐる問題と、殺害事件の背景としての「アベノリスク」】郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#156 - Bing video

*17:弁護士の郷原信郎氏は、参院選で負けて国会がねじれたことから、安倍晋三元首相は「とことん選挙で勝つことにこだわった」。説明責任を果たさず、「野党は批判のための批判だと批判する」。社会を分断し、政治的権力を高めたと分析している。

*18:統一協会問題で、旧統一協会問題の事実を量的にきちんと報告しなかったり、質的にきちんと批判しないマスコミならびにマスコミ言論人は、旧統一協会と組織的つながりがある可能性がある。例外なく旧統一協会とその個人的利害が一致しているとみるべきだろう。

*19:国際NGO「国境なき記者団」の2019年 報道の自由度ランキング では、日本のランキングは180カ国・地域中67位。

*20:統一協会から抜け出すことのできた元信者の発言でも、家族の学習の重要性を指摘しているものがある。物理的に隔離することもときに必要だが、家族が感情的に嘆いているだけでは救うことはできない。マインドコントロールされている場合、簡単なことではないが、学習や対話による学びで本人自身が矛盾に気がつかないと抜けることができないということも確かなことだろう。

自民党って、反社会的な旧統一教会に関係している政党なんですか ―2022年参院選から1週間、素朴に疑問に思う(1)-

 日本社会を驚愕させた安倍晋三殺害事件。この事件は確実に教科書に掲載されるレベルの事件だが、いまだその性格と意味合いは、圧力や忖度があって*1正確に深められている段階とはいえない。

 さて圧力なのか、忖度なのか、マスコミ各社が一斉に「特定の宗教団体」と報じて、その名前を一切報じなかった組織は統一教会*2ということだった。

 「統一教会」とは、「「統一教会」の名で知られるキリスト教系の新宗教で、1954年に韓国で創設され、64年に日本で宗教法人として認可された。日本では1980年代に、教団側が指定した男女同士が婚姻する「合同結婚式」や、先祖の因縁などの話を用いて高額な物品を売りつける「霊感商法」の問題が取りざたされたこともあるいわくつきの組織」である*3*4 

 さて、安倍晋三元首相殺害事件は、テレビ報道を見ていても少しもわからない*5

 テレビと比べると雑誌報道のほうが数段ましといえる。たとえば文春オンラインによれば、「大病を患う兄が自殺」*6など身内の死などの不幸が重なり、母親は深刻な悩みを抱えていて、そこから宗教を頼りにした。はじめは違う宗教だったようだが、そのうち統一教会会員となって「母親がのめりこみ、破産したので恨みがあった」と山上容疑者の供述を報じた。

 繰り返しになるが、容疑者は、「政治信条に対する恨みではない」「ある宗教団体に恨みがあり、元首相とつながっていると思い込み犯行に及んだ」「岸信介元首相が日本に招きいれたから孫の安倍氏を狙った」*7と供述しているという*8。 

 統一教会は、反社会的なカルト的宗教集団として知られる*9

 容疑者は、そもそも統一教会のトップである韓鶴子総裁を狙っていたが、「新型コロナウイルスの影響で海外渡航が途絶え、(韓氏と)接触が難しくなった」*10と判断し、「安倍氏による教団トップへの称賛動画」を見て、「怒りの置き換え」が「生じた可能性」*11があると読売新聞は報じた。

 読売によれば、「山上容疑者が理由として挙げ」*12ている動画が、「昨年9月、民間活動団体「天宙平和連合(UPF)が韓国で開いた集会で、安倍氏が寄せた5分間のビデオメッセージ」*13であると報じている。この中で安倍元首相が「朝鮮半島の平和的統一に向けて、努力されてきた韓鶴子総裁に敬意を表します」*14と挨拶したのだ。「集会には米国のトランプ大統領もメッセージを送ってい」*15るとのことだ。

 「私たちには幸福追求権がない」という”宗教2世」の深い苦悩”*16という文春の記事を読むと、容疑者の動機についてはさらに分析していく必要があるように思う。

 ひとつ言えることは、これは、言論の自由に対する蛮行とか、民主主義にたいする挑戦というような文脈ではなく、まさに容疑者自身が供述しているように、「政治信条に対する恨みではない」「ある宗教団体に恨みがあり、元首相とつながっていると思い込み犯行に及んだ」「岸信介元首相が日本に招きいれたから孫の安倍氏を狙った」*17ということが動機といえるのだろう。

 したがって「殺害」とか「謀殺」という表現が現段階では適切と思う。

 今回、山上容疑者が「恨み」があると供述したとされる旧統一協会(世界平和統一家庭連合)の問題に取り組んでいる弁護士組織のひとつに「全国霊感商法対策弁護士連絡会」という弁護士組織団体がある。

 その団体の政治情勢認識のひとつに、「家庭を崩壊させる統一協会の活動について行政も政権を担う党の政治家もこの30年以上何も手を打ってきませんでした」*18というものがある。もしこの指摘が正しいとすれば、これはきわめて重要な指摘ではないだろうか。

 2021年9月17日、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(以下、霊感商法対策弁護士会)は、「衆議院議員 安倍晋三先生へ」と題する「公開抗議文」を安倍氏に送っている。その趣旨は、「霊感商法被害の救済と根絶のために」、「統一教会により」、「自分達の活動が社会的に承認されており、問題のない団体であるという「お墨付き」」として「利用され」ることになるため、「統一教会やそのフロント組織の集会・式典などに出席し祝辞を述べ、祝電を打つ」ことはやめ、「選挙」で「旧統一教会信者らの支援を受けない」ようにしてほしいという内容だ。これはきわめて重要な問題指摘・問題提起・要請ではなかろうか。

 これらの再三にわたる要請にもかかわらず、霊感商法対策弁護士会の「要望書の要望を全く無視」して、9月12日、「統一教会のフロント組織」である「天宙平和連合(UPF)」主催のWEB集会に「安倍晋三内閣総理大臣の基調演説が発信」されたとすれば、それは安倍晋三元首相のふるまいの政治責任が厳しく問われざるをえない。霊感商法対策弁護士会は、「これを統一教会が広く宣伝に使うことは必至」と危惧しており、山上容疑者はこの問題動画を見たものと思われるからだ。

 さらに霊感商法対策弁護士会は、この「公開抗議文」の中で、「安倍先生が、日本国内で多くの市民に深刻な被害をもたらし、家庭崩壊、人生破壊を生じさせてきた統一教会の現教祖である韓鶴子総裁(文鮮明前教祖の未亡人)を始めとしてUPFつまり統一教会の幹部・関係者に対し、「敬意を表します」と述べたことが、今後日本社会に深刻な悪影響をもたらすことを是非ご認識いただきたいと存じます」とまで述べていた。*19

 旧統一教会は、反社会的であり、カルト的で、弁護士の先生方からは、「その献金勧誘行為や信者獲得手法について繰り返し違法である旨の判決が下されている」団体と指摘されている組織である。

 なぜ、そんな反社会的で、カルト的で、法にも違反している団体に、安倍晋三元首相は近づくのか。

 今回の参院選で、第一次安倍政権の首相秘書官であった井上義行候補(自民党)は、当選を果たしたが、旧統一協会(世界平和統一家庭連合)の少なくとも「賛同会員」*20である。

 自民党は、選択制夫婦別姓反対、同性婚反対の政党として知られるが、これも統一教会の教えと関連があるといわれている。

 有田芳生氏によれば、1990年代、とりわけ1995年の地下鉄サリン事件のあと、つまりオウム真理教のあとは、統一教会の摘発が予定されていたというが、政治の力がはたらいて、統一教会の摘発は放置されたという。今日(こんにち)からすれば、いわば放置・空白の30年だ。

 いまや旧統一教会の改名問題にも関心が高まっているようだが、自民党下村博文氏は旧統一教会の名称変更関与を否定しているけれど、2015年8月、下村博文氏の文科大臣時代に名称変更がなされたことは間違いない*21

 なぜ、こんな団体に、政治家は近づくのか。

 インチキ“宗教“団体と腐敗政治家との相性は、抜群によいのだろう。相思相愛・蜜月なのだろう。無批判に黙って働く戦力としても、集金・集票マシーンとしても期待できるからだ。けれども、こうした腐敗が、近代政治と民主主義を破壊することは明らかだ。

 こう考えていたら、日刊ゲンダイが、旧統一教会と関係のある国会議員112人のリストを入手したと発表した。「リストを見ると、やはり自民党議員が圧倒的に多い。衆院議員78人、参院議員20人が統一教会系の団体等との何らかの関わりが確認された。野党でも立憲民主党6人、日本維新の会5人、国民民主党2人が関わりを持っていた。そのうち閣僚、党幹部の経験者だけでも34人に上る(別表)」と*22

 わたしは安倍晋三殺害事件にはまさに「驚愕した」。けれど、もしこのリストが正しいとすれば、自民党と旧統一教会との関係性に、まさに震撼した。それは旧統一教会がこれほどまでに自民党に食い込んでいて、安倍晋三元首相だけの話では済まないからだ*23

 2022年参院選から1週間。素朴に疑問に思う。

 自民党って、「反社会的」*24な旧統一教会に関係している政党なんですか。

 自民党って、カルト"宗教"政党なんですか。

*1:国際NGO「国境なき記者団」の2019年 報道の自由度ランキング では、日本のランキングは180カ国・地域中67位。

*2:2015年に名称を変えて現在は「世界平和統一家庭連合」と改名している。略称としては、一般に、「統一教会」が使われているが、まともなキリスト教系の教会ではないという意味とさまざまなフロント組織があるため抽象的・総合的に「統一協会」と呼ぶこともある。正式名称は、世界基督教統一神霊協会共産党は、この正式名称から略称として「統一協会」を使用している。

*3:全国霊感商法対策弁護士連絡会によれば、1987年から2021年12月の34年間で、表面化したものだけでも、相談件数は3万4537件。被害総額は1237億円にのぼっているという。

*4:旧統一教会会見の緊迫の舞台裏》「黒ずくめのスーツを着込んだ教団関係者が十数人陣取り…」会長が語った“メディア選別”の意図と“安倍家とのつながり”とは | 文春オンライン (bunshun.jp) また旧統一教会については、たとえば、以下参照のこと。旧統一教会元信者の金沢大・仲正教授「霊感商法でたくさん売れる人、幹部に出世していく人は聞き上手だった」 (msn.com)

*5:各種メディアは、圧力なのか、忖度なのか、安倍元首相殺害事件発生時はとくに宗教団体名を全く報道しなかったが、参議院選挙後、名前が報道され始め、旧統一教会がどのような団体なのか、殺害事件の一週間後くらいから、羽鳥慎一モーニングショーなどで有田芳生氏を起用し報道するようになった。NHK日曜討論では江川紹子氏を起用し、江川氏は鋭い問題提起をおこなったが、司会者や他の出演者によって、問題が深められることはなかった。

*6:《安倍元首相銃殺》「母親が宗教に傾倒し、大病を患う兄が自殺」山上徹也容疑者が自殺未遂に至った“不遇な家庭環境”と事件直前の“悪質レビュートラブル” | 文春オンライン (bunshun.jp)

*7:岸信介元首相と統一教会との関係については、戦後史の範疇となるが、世間的にはあまり知られていないのだろう。その点でいえば、山上容疑者の認識と世間の常識との間に乖離があるのだろう。

*8:《安倍元首相銃撃》「母親はつながりが切れない、縁が切れない」親族が明かす山上徹也容疑者(41)の母親への“葛藤”と“宗教2世”の深い苦悩「私たちには幸福追求権がない」 | 文春オンライン (bunshun.jp)

*9:全国霊感商法対策弁護士連絡会は、その統一教会 安倍晋三 元首相 銃撃事件 声明 (stopreikan.com)で、統一協会とそのダミー組織について、「その献金勧誘行為や信者獲得手法について繰り返し違法である旨の判決が下されている統一協会やそのダミー組織」と述べている。

*10:安倍氏による教団トップへの称賛動画、山上容疑者が見て「怒りの置き換え」生じた可能性 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

*11:安倍氏による教団トップへの称賛動画、山上容疑者が見て「怒りの置き換え」生じた可能性 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

*12:安倍氏による教団トップへの称賛動画、山上容疑者が見て「怒りの置き換え」生じた可能性 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

*13:安倍氏による教団トップへの称賛動画、山上容疑者が見て「怒りの置き換え」生じた可能性 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

*14:安倍氏による教団トップへの称賛動画、山上容疑者が見て「怒りの置き換え」生じた可能性 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

*15:安倍氏による教団トップへの称賛動画、山上容疑者が見て「怒りの置き換え」生じた可能性 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

*16:《安倍元首相銃撃》「母親はつながりが切れない、縁が切れない」親族が明かす山上徹也容疑者(41)の母親への“葛藤”と“宗教2世”の深い苦悩「私たちには幸福追求権がない」 | 文春オンライン (bunshun.jp)

*17:《安倍元首相銃撃》「母親はつながりが切れない、縁が切れない」親族が明かす山上徹也容疑者(41)の母親への“葛藤”と“宗教2世”の深い苦悩「私たちには幸福追求権がない」 | 文春オンライン (bunshun.jp)

*18:統一教会 安倍晋三 元首相 銃撃事件 声明 (stopreikan.com)

*19:公開抗議文 衆議院議員 安倍晋三 先生へ 統一教会 家庭連合 (stopreikan.com)

*20:横田一氏によって信徒とスクープされた。井上義行参議院議員自身は、信徒ではなく「賛同会員」であり、会費や寄付の支払いはないと赤旗の質問に答えている。霊感商法の旧統一協会 自民・井上議員を支援/参院選 集会招き「信徒になりました」と紹介/ジャーナリストの横田氏が音声入手 (jcp.or.jp)また、支援をいただいたのは「世界平和連合」と言っているようだが、有田芳生氏によれば、これは単なる使い分けであり、これらの組織の信者・幹部は同一であるという。

*21:元文部科学事務次官前川喜平氏は、1997年に前川氏が文化庁宗務課長だったとき、統一教会が名称変更を求めて来た。実体が変わらないのに、名称を変えることはできないと断ったことがあるという。これからすると、少なくとも、18年くらいの長きにわたって名称変更要求があったことがわかる。

*22:【統一教会】旧統一教会と「関係アリ」国会議員リスト入手! 歴代政権の重要ポスト経験者が34人も|日刊ゲンダイDIGITAL (nikkan-gendai.com)

*23:戦後の統一教会の影響は、岸信介・安部晋太郎・安倍晋三の親・子・孫の三代から、政界に広げられ根をはったということがより正確な見方なのだろう。が、それを言うには、自分には詳細な学習が必要だ。

*24:「統一教会は反社的」自ら起こした訴訟でそう論じていた世耕参議院議員 世耕氏と青学大教授との裁判で開陳された自民党と統一教会のただならぬ関係(1/5) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

恨み・恨まれる社会、殺し・殺される社会を変えて、すべての人にとって安全・安心な社会を

 参院選当日だから投票に行きましょう、というような選挙の記事を書こうと思っていた。しかし、そんな気持ちになれない。

 これが学校内のとんでもない事故であれば、事故を起こした生徒を調査するとき、「どうしてそんなことをしたんだ」と、問いかける。被害・加害の関係があれば、被害者にたいして、「相手はこういう気持ちで行動したらしいが、どう思う」と問いかける。最近は学内も物騒だから、気持ちと行動ということでいえば、凶器や武器を排除することが安全な環境づくりの第一歩だ。そして、すべての生徒が落ち着いて学校生活を過せるようにすることだ。抑圧されたり、ストレスを抱えたり、恨み・恨まれるような気持ちがあれば取り除いて、暴力で解決するような指向性をなくすために、学校として教育力を発揮し、安全・安心な教育環境をつくりあげることである。

 これは、国内でも、国際関係でも、社会全般に通じることだと思う。

 さて、安倍元首相殺害事件。

 この事件は、どのように表現したら、より正確な表現になるのだろうか。

 調査はまさにこれからだから、この事件の認識とその表現語句は、時間的経過とともに今後訂正し続けていくのだろう *1

 ひとつ疑問をあげるとすれば、安倍元首相殺害は政治テロなのか。政治テロだとすれば、政治テロは許さない、政治テロに屈するな、民主主義に対する蛮行を許すなと声をあげることに異論はない。しかし、そうだろうか。

 少しだけ関連語句を調べてみた。

 「暴力行為あるいはその脅威によって、敵対者を威嚇 すること。恐怖政治。テロ」のことを「テロル」*2という。

 「政治的目的を達成するために、暗殺・暴行・粛清・破壊活動など直接的な暴力やその脅威に訴える主義。テロ」を「テロリズム」という。

 「主に政治上の立場や思想の相違などから、ひそかに要人をねらって殺すこと」を「暗殺」という*3

 「あらかじめ計画して人を殺すこと」を「謀殺」という。

 以上からすると、「謀殺」とはいえるが、はたして「暗殺」や「テロ」といえるのか、今後の報道を見守り、慎重に表現しなければならないと考える。

 現段階までの事情聴取で報道されている容疑者の動機は、これはもちろん容疑者からみた「認識」に過ぎないが、「母親が信者で、多額の寄付をして破産し、絶対成敗しないといけないと恨んでいた。安倍氏が団体とつながりがあると思って狙った」と、某「宗教団体」によって母親が利用され、自己破産に至り、家庭が崩壊したことから某「宗教団体」に対する恨みをもったということだ。これも当然の帰結だが、「団体のトップを殺害しようと考えたが、接触が難しかった」と、本来は某「宗教団体」トップをねらいたかったとのことだが、その防衛体制からそれは不可能と考え、某「宗教団体」と関係していると考えた安倍元首相をねらったものとされている。大ざっぱではあるが、容疑者は、以上を冷静に述べているようだ。

 そもそも、「(安倍氏の)政治信条に対する恨みではない」と、容疑者本人が動機は政治ではないと述べているようだが、以上が要旨として間違いなければ、これは安倍晋三という政治家の政治信条にたいするものとはいえまい。いまさまざまな勝手な推測から、「政治テロに屈せず」「民主主義に向けられたテロに屈せず」と強調する論調があるが、文脈が違っている、ずれていると言わざるをえない。そもそも、容疑者本人が政治信条に対する恨みではないと言っているのだ。

 たしかに参議院選直前であり、街頭での選挙演説中の殺害事件であるので、政治テロではないかと推測しやすいが、これは政治的意図を背景にしたものというより、容疑者みずからの殺害目標に接近できる環境を利用しただけというのがより正確なのだろう。某「宗教団体」のトップに接近できたのであれば、そちらを狙ったというのが普通の考え方だからだ。

 そもそも某「宗教団体」と書いてきたが、容疑者が某「宗教団体」の名前を隠しているわけではないから、なぜメディアはこれを報道しないのだろうか。実に不思議だ。日本のメディアは何に忖度しているのだろうか。

 さらにいえば、容疑者は、安倍晋三と某「宗教団体」との間につながりがあると認識しているが、そもそも安倍晋三と某「宗教団体」とは、明確なつながりがあるのか。それとも容疑者の想像に過ぎないのか。「団体は海外が発祥で、インターネット上には、この団体の代表らが設立した民間活動団体(NGO)の集会で安倍氏のビデオメッセージが流れる動画が投稿されている。山上容疑者は「メッセージを送っている動画を見て、つながりがあると思った」と説明し、「(安倍氏の)政治信条に対する恨みではない」とも話しているという」(読売新聞)程度の報道はあるが、この詳細を報じないのが実に不思議だ。

 脆弱な政党や腐敗した政治家は、集金・集票マシーンといわれる「宗教団体」の誘惑にあらがうことがいかに難しいか、想像に難くない。政治に不当な支配をもちこまないために、政教分離についてもあらためて考える必要があるだろう。

 世界の主要メディアでは、まだ少数の各紙に過ぎないが日本の取材をとおして某「宗教団体」について報道し始めている*4が、日本国内では主要各紙は「宗教団体」の名称についてはいまだ報道していないし、世界の各紙もこれからの報道になるのだろう。たとえば雑誌タイム(Time magazine)が、安倍元首相についてカバーストーリーにするという。タイム誌がどれほど深堀りするかは不明だが、おそらく、日本メディアが抱えている忖度とは関係のない、こうした世界各紙の報道から、外堀が埋められ、日本国内でも報道せざるをえなくなっていくに違いない*5*6

 いわゆる安倍・菅政権の新自由主義的政治のもとで、社会保障より自己責任が強調され、経済・社会格差が広がり、いじめやDVなど、日本社会が殺伐としてきたと指摘されている。その意味では、容疑者も犠牲者のひとりと言えるかもしれない。ところで、恨みや怨念を抑えたり少なくしていくのが人の道(倫理)であり、社会的教育力であり、社会保障による安全網をしっかりとつくっていって、人の恨みや不幸感を少なくしていくというのが、政治に期待されるちからではないか。けれども、ひとりの人間をも切り捨てない政治を期待できない政治家の代表格が「こんな人たちに皆さん、私たちは負けるわけにはいかない」と叫んだ安倍晋三であったのではないか。国民を分断するのではなく、恨み・恨まれ、殺し・殺される殺伐とした社会環境を改善し、安全・安心な社会をつくっていかなければならない。

 そのためにはタブーも忖度もない、今回の事件の徹底した分析が必要だ。

 今後さまざまな視点から忖度のない調査・報道がすすんでいくならば、容疑者本人が「(安倍氏の)政治信条に対する恨みではない」と言っているようだが、皮肉なことに、国内のみならず、国際的にも、大きな政治的な事件となっていく予感がしてならない。

*1:それにしても、素人眼でみても、選挙演説の場所・環境の選択としての不適切さは否めない。警備体制自身が認めた警備体制の不備の問題もあり、単独犯行なのか複数反抗なのかも、今後の慎重な捜査を待たなければならないだろう。

*2:ドイツ語で「恐怖」の意。

*3:「暗殺」を意味する英語の"assassination"も、"the murder of someone famous or important"(Cambridge Dictionary)というように「理由」に言及しない定義もあるが、 "murder by sudden or secret attack often for political reasons : the act or an instance of assassinating someone (such as a prominent political leader)"(Merriam-Webster)と理由に言及する定義も少なくない。

*4:たとえばカナダのグローブアンドメールNew details emerge about the man who assassinated former Japanese prime minister Shinzo Abe - The Globe and Mail

*5:安倍・菅政権のもとで、日本のメディアの権力をチェックするジャーナリズムとしての水準は落ち込んでしまった。

*6:国際NGO「国境なき記者団」の2019年 報道の自由度ランキング では、日本のランキングは180カ国・地域中67位。

国民の暮らしそっちのけの自公政権に票を投じることはできない

 街頭で選挙演説中の安倍元首相にたいする銃撃事件。確実に歴史に残る衝撃的な死亡事件から一夜明けた。こうした言論活動への暴力・制圧を到底許すことはできない。

 例外なく、人は、その生存権が保障されなければならない。例外なく、その市民的権利は擁護されるべきである。基本的人権の中でも、最も重要である生存権。なんぴとたりとも、生存権を奪うことは許されない。悪政の限りをつくしたとしても、安倍元首相も例外ではない。

 先日、アメリカ合州国の銃暴力(gun violence)について触れたが、野蛮きわまりない銃規制については、今回28年ぶりに多少の前進をみたが、銃の所持は、多少の規制をすればよいというものではなく、廃棄・廃止しなければならないものだ。銃をもつ自由がいかに問答無用に人々を殺傷しているか、銃をもつ自由に固執するアメリカ合州国の日常が証明している。銃規制が進まない理由は、銃反対のデモをみればわかるように、銃に反対する市民も少なくないにもかかわらず、銃で利益を得ている圧力団体の支配によるところが大きい。

 これは軍隊の武器でも全くおなじである。敵基地攻撃能力(反撃能力)をもち軍拡が必要という考え方は、銃をもつ自由と重なる。殺される側の要求ではなく、死の商人の要求だ。ふるくは「永遠平和のために」で、抵抗権は認めつつも、戦争を防ぐには、常備軍の全廃と戦時国債反対を強調したエマニュエル・カント。哲学者・芝田進午氏は、「サン-ピエール、ルソーの平和論を念頭におきながら、画期的な平和論を提出したのは、哲学者・I・カント(1724-1804)であった」として、カントの「永遠平和のために」(1795年)には、「あたかも今日のために書かれたのではないかと思われるほど、すぐれた先駆的な平和の思想が展開されている」と、論文「核時代の平和思想」(1984年)で述べている。

 さて、わたしたちの暮らし・経済である。ここにきて急激な物価高騰。そこに年金の減額。さらに円安の追い打ち。

 長期化しているウクライナ侵略戦争の影響はこれからさらに本格化するというのに、さらに円安が進む可能性とさらなる物価高騰が予想され、そのあとは防衛費2倍の軍拡のツケを消費税増税でまかなうのではないかと言われている。現政権与党は日米軍事同盟を土台にしてアメリカの言いなり。ウクライナ情勢も利用して、財源もない中、消費税増税を当て込み、防衛費を2倍にしてしまった。
   参院選が盛り上がらず、選挙後に物価高の深刻さや大問題のインボイス制度に気づく国民が多いとなれば残念でならない。お金を国民の安全・安心・暮らしに使わず軍事費に使うという相変わらずのアベコベ政治が続いている。
   せめて最低賃金を時給1500円に。法人税を引き上げ、消費税を引き下げ5%にすべきではないのか。

    安倍晋三後援会主催による桜前夜祭でのサントリーによる酒の提供・ホテルニューオータニの優遇措置が赤旗スクープで明らかになった。自公政権は全く信用できない。

 故安倍元首相・菅元首相の流れを継承する自公政権は、日本全体をよくしようと努力しているようにはみえない。加計学園問題・森友学園問題。自分のことや、お友達・親族、そして自分に還流してもらえる既得権益にしか興味がないかのようだ。

 国民にはトリクルダウンが期待できると言われていたが、大企業が内部留保をため込むことはあっても、庶民には、シャンパングラスからシャンパンが漏れだすということはなかった。

 超低金利の日本。手数料ばかりとられる銀行にお金を預けておく意味がない。これってほんとうに資本主義なのかという異次元緩和を続ける日本。世界は物価上昇にたいして給料も上がっているのに、物価は上昇しても給料が上がらない日本。

 むかし、経済一流、政治二流と言われた日本。いまや経済も二流となってしまった。

 新自由主義アベノミクスを結局は継承している岸田首相の「あたらしい資本主義」。投資をすすめられても、お金のない者にはそもそも無理な話だが、お金のある人たちは、ここにきての円安で、利回りのよいドル買いやアメリカ合州国株式投資に日本円が流れているといわれる。これでは、ますます円の価値は下り、日本国民全体の経済力は低下し、わたしたちの暮らしがよくなることはないだろう。

 経済とは、経世済民 世をおさめ、民をすくうの意だと聞くが、自公政権とその補完勢力では国民の暮らしを守ることは期待できない。

 消費税は、所得税を払ったうえで支払うという意味で二重課税の、かつ金持ちにも貧乏人にも等しく課税される不公平課税だ。その使途は社会福祉ではなく、法人税の減税分の踏め合わせに使われているのが実態だ。「分配」を言うなら、消費税の減税を経て消費税の廃止が国民的要望といえるだろう。

 自公政権以外が賛成している消費税5%への減税について、自公だけが反対。

 消費税減税、その後の廃止、あるいはすぐ廃止を政策にかかげているのが、社民党共産党・れいわ新選組などである。

 さらに自公政権は、零細事業者いじめのインボイス制度の導入を計画している。

 国民の暮らしそっちのけの自公政権に票を投じることはできない。